日本は、今や超高齢社会を迎えたと言われています。厚生労働省の調査によれば、2015年には全国民の4人に1人が65歳以上の高齢者となり、働き盛りの世代3人で1人の高齢者を支える社会となります。このような中、家族の介護等を理由に離転職する方も年間10万人に達しています(総務省 平成24年「就業構造基本調査結果」)。
このような状況の中で介護と仕事の両立支援は待ったなしの課題です。介護と仕事を両立する上では、「介護サービスをどう利用するか」と「働き方をどうするか」という2つの視点があります。約10年後に団塊世代が75歳以上の後期高齢者になると日本はまさに“大介護時代”を迎えます。その大介護時代を乗り切るための働き方について一緒に考えてみませんか?
地域の介護情報を集めるなら市町村のパンフレットが基本。
介護保険は何をしてくれるのか、利用するにはどうすればいいのか、市町村ではどんなサービスがあるのかという情報から、ケアマネやホームヘルパーを頼むときにどこを選べばいいのか、介護施設は?老人ホームは?など、介護について知りたいことはたくさんあります。
介護サービスは地域によって違いがあるので、まずは自分の住んでいる市町村のパンフレットを手に入れましょう。実際に介護サービスを利用するときはケアマネからの情報提供が基本ですが、事前に、同世代の友人、知人から体験談を聞いたり、ご近所の評判を聞いたりするのも有効です。
親と離れた地域に暮らしている方は、帰省したタイミングで情報を収集しておくとよいでしょう。事前に情報を集めておくと、緊急事態に陥った時、慌てずに済みます。
いざというときのために…。普段からの働き方が重要。
介護が必要になってから、急に働き方を変えるのは大変です。もちろん仕事に打ち込むのは悪いことではありませんが、いざというときのために、一定の時間内で高い成果を出す、メリハリをつけた働き方を意識してみてはいかがでしょうか。
また、あなたが責任を持っている仕事のうち、ある程度の部分は他の人と分担できることや、標準化することで効率化できることがあるかもしれません。周囲の同僚と仕事を分け合い、職場全体で業務の効率化を図ってみましょう。普段から自分の仕事を他の方でも対応できるようにしておくことで、急に休まないといけなくなった時も、職場にも迷惑をかけず、仲間からの協力も得られやすくなります。
退職せずに介護と仕事を両立するためには社内制度も活用。
継続的な介護のためには、経済的負担もかかります。また、介護後の人生を視野に入れて考えてみても、経済的基盤は重要。できるだけ退職はせず、仕事を続けながら介護するのが理想的です。
会社は育児・介護休業法により、介護をする従業員を支援することとされています。会社員であれば、介護休業・看護休暇・介護時短勤務などが認められていますので、まずはこうした社内制度を調べ、適切に利用しましょう。
まとめ
介護と仕事を両立する上では、「介護サービスをどう利用するか」と「働き方をどうするか」という視点があります。介護についての情報収集は、自分の住んでいる市町村のパンフレットや口コミからの情報を収集しましょう。インターネットでも多くの情報を得ることが出来ます。
継続的な介護のためには、経済的負担もかかります。また、介護後の人生を視野に入れて考えてみても、経済的基盤は重要です。今はまだ問題に直面していない方も、今から働き方・休み方を見直し、準備しておくことがとても大切です。「お互い様」の意識を持って、業務負荷が高いときは職場の同僚同士で助け合う関係づくりを進めていきたいですね。
出典:浜田きよ子著「介護の常識」講談社