高齢者が食べない…「食べるチカラ」に差がつく五感を使った音と食事のおいしい関係とは?

食事をおいしく楽しく味わうことは、「食べるチカラ」を引き出すためにとても大切なことです。では、どうしたら食事をおいしく楽しめるのでしょうか。
そのヒントは、ヒトの五感にあります。味覚をはじめ、視覚(見た目)、嗅覚(におい)、聴覚(音)、触覚(食感)という五感を刺激する工夫が、食事を充実したものに変えていくのです。
「食べるチカラ」を引き出す工夫は、食事をいただく前から始められます。何気ない、調理中の音を聞きながら、今日の料理を想像し、食欲を刺激してみませんか。

(参考記事)
ずっと、おいしく楽しく食べてほしい! 高齢者の「食べるチカラ」を引き出しましょう。

■五感を使った食事を楽しもう

「五感を使う」といえば、なんだかとても難しそうに思えますが、「五感」は気づかないうちに普段から使っている感覚であって、決して特別なものではありません。五感それぞれの例をみてみましょう。

1、【視覚】料理は、色や形状などは、「おいしそう!」や「わ~、きれい!」などの感動を与え、おいしさへの判断に大きくかかわります。
2、【嗅覚】だし汁の香り、しょう油の香ばしいにおい、肉を焼いたときのにおいなどが、過去のおいしかった食物のにおいの記憶を刺激して、「おいしい」という判断につながります。
3、【聴覚】お鍋のコトコト煮える音、ジュウジュウ焼ける音など、料理の音が、食欲を刺激します。
4、【触覚】サクサク、カリカリなどの歯ざわり、口さわりなど咀しゃくの際に受ける感覚により、おいしさを判断します。
5、【味覚】口に含んだ食物を“おいしい”と判断する感覚をいいます。

このように、「五感を使う」と舌、目、鼻、口、耳の5つの感覚器官を総合的に活用して食事を楽しむことができるのです。

 

■聴覚(音)で「食べるチカラ」を引き出そう!

食事の際に聴く音楽(BGM)や音により、食欲に差が生じたという研究報告があります。心地よい音楽では、胃腸もリラックスした状態となり、食事が進みます。また、療養中の高齢者にとって「うるさいのでは?」と気遣うことの多い調理の音は、家で過ごすという安心感を与え、心地よい響きになります。音楽や音によって、だ液分泌が促進されたり、血圧や心拍が安定したりすることで、からだが食事を受け入れる準備が整い、食欲に良い影響を与えるのです。

一方で、テレビの大音量など騒がしく賑やかすぎる音は、食事への集中力を減少させ、会話を聞き取りにくくし、不快感を与えます。特に、テレビ番組などにありがちな突然の大声は、高齢者を驚かせて誤飲させる危険性があり、注意が必要です。

食事内容の好みだけでなく、「音」によって食事環境を整えることは、高齢者の食事を充実させ「食べるチカラ」を支えることにつながります。このように食事は、ゆったりと落ち着いた環境でただくことが望ましいといえます。

 

■まとめ

「五感を使った食事」は、繰り返してきた何気ない日常の感覚を、改めて意識することから始まります。食事を準備する段階から、トントンと野菜を切る音や流れる水の音、料理中のにおいなどで耳や鼻の感覚が働きます。そして出来上がった料理を見て、口に運ぶことで、目や舌、口の感覚が働いて、食べる幸せを感じることができます。このように「五感」の刺激によっておいしい食事を楽しむことで、からだの栄養だけでなく、こころの栄養にもなって、健康へつながるのです。

■この記事に関するおすすめレシピ
生姜風味のふんわり鶏団子鍋

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