私たちは普段、圧が一定の場所に長時間かからないように、無意識にゴソゴソと姿勢を変えてからだにかかる圧を分散しています。しかし、それが自分で自由にできなくなったら、同じ部位に一定の圧が長時間かかってしまい、褥瘡(床ずれ)発生の要因となってしまいます。
今回は、毎日の生活に取り入れたい褥瘡(床ずれ)の予防方法と便利な商品、厚生労働省の腰痛予防指針に準じた商品の使い方をご紹介します。
褥瘡(床ずれ)とは?
褥瘡(床ずれ)は、からだの同じ部分が圧迫され続けることによって皮下組織の血流が悪くなり、酸素や栄養が行き渡らなくなる循環障害が生じて皮膚や組織が壊死することを言います。
ただ、その原因は圧によるものだけではなく、栄養状態が悪く痩せていることや、尿失禁・便失禁が続いていることなど、さまざまな要因が絡み合って発生します。
褥瘡(床ずれ)は予防が重要。治るまでに時間がかかる。
肌が新しく生まれ変わる力「ターンオーバー(新陳代謝)」は、一般的に年齢と共に低下すると言われています。したがって、高齢になればなるほど、褥瘡が発生すると治るまでに時間がかかります。
また、尿失禁・便失禁がありおむつをつけている方の場合、排泄物が傷口に触れるため、褥瘡がなかなか治癒しないケースもあります。
褥瘡(床ずれ)予防に欠かせない「圧抜き」
では、褥瘡(床ずれ)を予防するにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?褥瘡(床ずれ)予防の基本は「除圧・スキンケア・栄養管理」です。
寝たきり状態などで、ご自身で体勢を変えられない人は、同じ部位に圧が長時間かかってしまいます。特に尿失禁・便失禁があり、おむつをつけている人は、排泄後のおむつの中が蒸れて皮膚が軟らかくなり、ちょっとした圧力やズレ・摩擦によって、褥瘡が発生しやすくなっています。
また、体を起こすために介護用ベッドの背上げをすると、かかとに圧が集中します。そのため、褥瘡(床ずれ)予防には、仙骨部のズレと摩擦を人為的に起こさず、同じ部位にかかった圧を取り除く「圧抜き」が欠かせないのです。
圧抜きに便利な「リフレ圧抜きグローブ」
褥瘡(床ずれ)予防に欠かせない「圧抜き」をよりスムーズに行える便利な商品が「リフレ圧抜きグローブ」です。滑りやすい素材でできているので、介助者のからだに負担をかけずに、ベッドの背を上げた時や下げた時の除圧や体位交換、寝具・衣類のシワ伸ばしが簡単にできます。
「リフレ圧抜きグローブ」の効果的な使い方
1.「リフレ圧抜きグローブ」は、手のひらが介助される人のからだ側に来るように装着します。
2.介助される人の肩のあたりに手を差し込みます。
3.肩⇒背中⇒おしり⇒太もも⇒ふくらはぎ⇒かかとまで滑らせていきます。
4.上記のステップを左右順番に行いましょう。
※ふくらはぎのところで終わらず、必ずかかとまで滑らせていくことがポイントです。
圧抜きは、ベッドの背を上げた時だけではなく、ベッドの背を下げた時にも行いましょう。寝た姿勢でも特定の場所に圧がかかっていることがあります。その圧を分散させることで褥瘡(床ずれ)予防だけでなく、筋肉の緊張が緩和されることで、拘縮(身体を動かしていない状態が続くことで関節が硬くなり、動きが悪くなる状態)の予防にもつながりますので、ぜひ毎日続けてください。
「リフレ圧抜きグローブ」は、圧抜きだけではなく、ベッド上の横移動でも使える
移乗介助は、抱え上げや腰のひねり、前かがみ、中腰といった不自然な体勢になることが多く、腰痛などのトラブルを起こしやすい動作です。そのようなリスクを軽減するためにも、ベッド上の横移動でも「リフレ圧抜きグローブ」を活用してみませんか?
「リフレ圧抜きグローブ」横移動時の使い方のポイント
「頭部・肩甲骨」「骨盤部」「下肢部」と3回に分けて、順番に移動させます。
1.まずは、両手を肩甲骨の下に入れて、手前に引きます。
2.次に、両手を骨盤の下に入れて、手前に引きます。
※仙骨部に褥瘡ができている場合などは、両腕で褥瘡部を保護し、摩擦を与えないように移動させましょう。
3.最後に、かかとと膝の下に手を入れて、手前に引きます。
そのほかにも、車いす上での座りなおしをはじめ、介助される人の状態に合わせて、様々な使い方があります。
まとめ
褥瘡(床ずれ)は、からだの同じ部分が圧迫され続けることによって皮下組織の血流が悪くなり、酸素や栄養が行き渡らなくなる循環障害が生じて皮膚や組織が壊死することを言います。褥瘡(床ずれ)予防の基本は除圧・スキンケア・栄養管理です。特に体圧分散やズレ・摩擦を取り除く「圧抜き」が欠かせません。褥瘡(床ずれ)は日々の生活で予防することが可能です。
介助者の体に負担をかけずに簡単に介助ができるように、「リフレ圧抜きグローブ」をはじめとした滑りやすい素材のグローブを活用しましょう。今回ご紹介した商品以外にも、寝具の工夫やスキンケア、栄養補給など様々な方法があります。ぜひその人に合った方法をお試しください。