良い姿勢を作り関節拘縮や床ずれを予防!「ポジショニング」の基本的な考え方

皆さんにも「立ち仕事を長時間続けたら足が疲れた」という経験がある方は多いと思います。反対に「デスクワークで肩がこった、お尻が痛くなった」という方もいらっしゃるでしょう。このような時、私たちは姿勢を変えたり、軽い運動をすることで筋肉の緊張や血流をリセットすることができます。

でも、さまざまな理由でこのリセットができない方は、身体の緊張状態が続き、ますます動きにくい身体になってしまいます。例えば、次のようなことが原因で、つらそうな姿勢で過ごしている方はいませんか?
・関節が硬くなって動かしにくい(関節拘縮)
・身体がねじれている
・背中が丸く曲がっている(円背)
・麻痺や障がいがある

このような方は、つらい姿勢を余儀なくされて筋肉が常に緊張した状態になっています。その状態が続くと身体はさらに硬くなり、関節が曲がったまま固まってしまったり(関節拘縮)、変形やねじれが進んだりします。そうなってしまうと、食事や呼吸がし難い、誤嚥しやすい、痰が出にくい、床ずれになりやすいといった身体になってしまいます。

後になって「どうしてこんなことになってしまったの?」と嘆く前に、「ポジショニング」で予防しましょう。また、「ポジショニング」は、後からでも効果があることも多いので気付いた時から諦めずに取り組みましょう。

ポジショニングをして、関節拘縮や床ずれを予防しよう

「ポジショニング」とはリラックスをした良い姿勢を作ることです。ポジショニングクッションを使用して、身体を適切に支え、体重も分散させます。そうすることによって、筋緊張を緩め、身体の硬さを緩和し、床ずれの発生リスクも下げることができます。

ポジショニングの目的

ポジショニングにはたくさんの期待効果があるため、多くの目的のために実施されています。
・関節拘縮や変形の予防や緩和
・床ずれの予防や改善
・誤嚥の予防
・呼吸機能の確保
・喀痰の援助
・疼痛の緩和
・血流の改善
・筋緊張の緩和
・睡眠改善
・ストレス軽減

ポジショニングのポイント

ポジショニングが必要な方の状態はそれぞれ違いますので、ポジショニングの仕方も対象者の数だけあります。そのため、ポジショニングは「カタチ」で覚えるのではなく、基本的な考え方を理解することが大切です。

1.目標設定とアセスメント

対象者がどのようになって欲しいのかという目標を作ります。どのような姿勢になって欲しいのか、どのような動きを可能にしたいのかなど。そして、適切なポジショニングをするために、身体のどこに、どれくらい体重が掛かっているか、関節の可動域はどれくらいか、などを把握します。

2.クッションの形や大きさを適切に選ぶ

目指すポジショニングを可能にするために効果的なポジショニングクッションを選びます。

3.体重を十分にクッションに乗せる

身体のすき間にクッションを詰めるのではなく、クッションに身体の重みが十分に乗るようにします。そのためには、身体を起こしたり寝返りを打たせるなどしながら、クッションが身体の下にしっかりと敷き込まれるようにします。

4.ポジショニング後は圧抜きをする

クッションと身体の間に、グローブをはめた手を差し込んでズレ力を取り除きます。

5.その他

ポジショニングをする動作によって、対象者の筋緊張を上げないよう注意してください。対象者の状態は日々変りますので、その日、その時の状態に合せたポジショニングをしてください。

ポジショングの例

代表的なポジショニングの例をいくつかご紹介します。

<例1:上半身を支える>
関節拘縮のある方や身体がつっぱる方は、大きなクッションで頭、肩、腕、胸部、腰部など上半身をまんべんなく支え、首を内側に曲げ、肩甲骨を開くと、緊張を和らげることができます。また、円背の方が仰向けで寝ても安定したり、腰痛を和らげる効果もあります。


<例2:腕を支える>
関節拘縮などで腕が上がったまま硬くなっている方は、腕とマットレスの距離に合わせたサイズのクッションで腕を支えると、腕の緊張を和らげることができます。腕の重さが十分にクッションに乗るようにしてください。


<例3:背中、お尻、太ももを支える>
仰向けの腰に床ずれが出来やすい方は、定期的に身体を少し傾けて、体重がかかる場所を変えること(体位変換)が必要です。そのような時は、大きめなクッションで背中、お尻、太ももを支え、身体のゆがみがないように注意しながらポジショニングをします。


<例4:足を支える>
足に関節拘縮やむくみがある方は、足を包み込むようにクッションを使い、足の重さが十分にクッションに乗るよう高さを調整すると、足の緊張を和らげ、体重を分散させることができます。

 

良いポジショニングクッションを選びましょう

ポジショニングは、家庭にあるクッションや枕、タオル、毛布などでもできますが、より効果を出すためには、ポジショニング用に作られた「ポジショニングクッション」を使うことをオススメします。

ポジショニングクッションにもさまざまなメーカー、さまざまなタイプがありますので、次のポイントを押さえて、効果的なポジショニングクッションを選ぶようにしましょう。
・中材を移動させることで、身体の形に十分にフィットさせることができる
・安定性が高く、フィットした後の姿勢を長時間保つことができる
・表面が滑りにくく、姿勢が崩れにくい
・大きさや形のラインナップが豊富で使いやすい
・衛生的に使用することができる

M-ableクッション(マーブルクッション)は理想的なポジショニングクッションです

M-ableクッションは、効果的なポジショニングと、使いやすさ、心地よさ、衛生的などをバランス良く実現した最新のクッションです。その特長をご紹介します。

1.特殊な中材により、身体によくフィットして、良い姿勢を保持します


中材は、特殊なビーズとストローをカットしたようなパイプの2つの素材をミックス。中材が自由に動かせるので、身体に合わせて細かい調整ができ、しっかりフィットさせることができます。また、クッションに体重が乗ると、そのカタチが固定されますので、ポジショニングした姿勢を長時間保持することができます。

2.滑りにくいカバーで、ポジショニングした姿勢が崩れにくい


化繊だけではなく、コットンが織り込まれたカバーなので肌触りが良く、また滑りにくいためポジショニングした姿勢が崩れにくくなっています。

 

3.使いやすいラインナップ


大きさや形は10タイプ。あらゆる体格、部位、変形にも対応出来るよう工夫されています。また、ベッド上で使うものだけではなく、車いす上で身体の傾きを整えたりリラックスできるクッションもあります。


M-ableクッションC1タイプ
車いす上で、麻痺がある側に傾いてしまう方や、体幹が不安定な方の姿勢を整えるクッションです。また、腕の重さを優しく支えてくれますので、肩がリラックスできて楽な姿勢になります。

タイプ別の詳細は、株式会社ヒトラボのサイトをご覧ください。
株式会社ヒトラボ ウェブサイト

4.衛生的


インナーカバーは防水になっていますので、中材は汚染されず、衛生的で、お手入れも簡単です。
※インナーカバーが防水ではない「洗浄タイプ」もあります。
 

5.介護保険が使えます

在宅介護の場合は、介護保険を利用すれば自己負担1割~3割でご使用できます。ご使用希望の方は担当のケアマネジャーにご相談ください。

さいごに

ポジショニングは、最初から難しく考えず、緊張している部分を見つけ、楽な姿勢を作るためにどうしたらいいのかを考えることからスタートしましょう。

株式会社ヒトラボでは、より多くの方にポジショニングをご理解いただけるよう、無料セミナーも実施しております。セミナーをご希望の方は、こちらからお申込みください。

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本記事に使用のイラスト及び写真の出典元:株式会社ヒトラボ