食事介助のヒントになる「食べるメカニズム」とは?

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生きていくためにとても大切な「食べる」ということ。介護でも食事介助はとても重要なシーンのひとつです。その分、困りごとも多く、現場では「なかなか食べてくれない」、「食べ残してしまう」、「飲み込むのに時間がかかる」など様々な声を聞きます。

そこで今回は食事をめぐる介護の困りごとのヒントになるように、「食べること」の仕組みそのものについてお話します。実は、そのメカニズムには、食事介助に活かせるヒントがいっぱい詰まっているのです。

食事介助の視点で「食べるメカニズム」を考える

私たちは普段、意識せずに「食べる」という行為をしていますが、「食べる」仕組みには段階があるのをご存知でしょうか?専門的にお話すると5段階になり難しくなりますので、大きく3ステップに分けて専門用語をあまり使わずに分かりやすく解説します。

【食べるメカニズム】
①食べ物を認知する

②噛んで口の中でまとめる

③飲み込む

「食べる」仕組みには、これら3つのステップがあります。

それぞれのステップを知ることで、「食べる」ということが、どんなメカニズムでどんな流れで行われているのかを理解できます。そうすれば「食べるメカニズム」から逆算するように食事介助や料理の工夫が見えてくるのです。

食べるメカニズム① 「食べ物を認知する」

「食べるメカニズム」のステップその1は、食事を認知することです。つまり、食べ物を見てカタチや色、量、質感、熱さなどを感じたり、匂いで判断したりすることで、唾液や胃液の分泌などが促されることが「食べること」の第一歩なのです。

たとえば認知症の場合、食べ物を食べ物として認識しづらいという方がいらっしゃいます。そんなときは、「白いご飯が分かりやすいように内側に色のついたお茶碗に入れる」、「テーブルにたくさん並べないで、うまく認識できるように一皿ずつ提供する」、「お箸を手に持たせて食事だと気づかせる」などといった工夫で解決できる場合があります。

食べるメカニズム② 「噛んで口の中でまとめる」

食べ物を口に運んだら、「食べるメカニズム」のステップその2のはじまりです。特に注目したいのは「口の中でまとめる」ということ。飲み込みやすいカタチ「食塊(しょくかい)」にするために、歯や舌などで咀嚼(そしゃく)し唾液を充分に合わせてまとめるというステップです。普通、私達は咀嚼しながら無意識にこの「食塊」を作っていますので、認識しにくいですよね。

たとえば、イカやコンニャクなど硬いもの・弾力のあるものや、海苔など繊維の多いもの、クラッカーやサツマイモなどパサパサしているものなどは、食塊が作りにくいので、小さく刻んだり、水分と一緒に摂取したりという工夫が必要です。また、口の中で食塊を作るためには、唾液が充分に必要ですので、舌の上が白くなっているなど唾液の分泌量が減少しているサインにも気をつけてください。いつまでも飲み込めずにモグモグし続けている場合などは、チェックしてみるのがおすすめです。

食べるメカニズム③ 「飲み込む」

「食べるメカニズム」の最後のステップはもちろん飲み込むということです。口の中でまとめた食塊を、舌やほほなどを使って口の奥からのどへ送ります。その後、のどから食道・胃へ送られていくわけです。

ここで気をつけたいのは、レモン汁や酢醤油など、酸味が強くてのどに刺激が伝わってむせてしまう食べ物です。また、食べる順番も大切で、お茶や煮汁がある料理など水分を摂取できるものをバランスよく口に運ぶことが肝心です。そうすることで、「食塊を作る」→「飲み込む」のステップがスムーズに進みます。

「食べるメカニズム」を知って、食事介助の困りごとを解決!

このように、「食べるメカニズム」から考えることで、食事介助の現場で工夫すべき様々なことが自然と見えてきます。サポートしたい方が食べることに困っているとき、「食べるメカニズム」を考えてみれば、その原因が分かって解決できることはたくさんあるはずです。

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