【介護食の現場より シリーズ①】食べる人の心の声を聞いて作る介護食の大切さ

介護食には、やわらか食、きざみ食、ペースト食といった、被介護者さんに合わせた段階があるのはよく知られている話です。
これは、被介護者さんの、咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)能力に応じて、医師が食形態(介護食のレベル)を判断し、調理師が段階に合わせたアレンジを行うというものです。

しかし、頭でっかちに食形態だけを考えていても、被介護者さんに食べていただけないケースが多々あります。好き嫌いやちょっとしたことで、食べていただけなくなる場合もあるのです。
実際に介護食の現場では、医師の判断だけではなく、実にさまざまな現場の知恵で被介護者さんの食事シーンを支えているのです。そうしたお話を具体的なケースとしてご紹介します。

医師の判断&現場の知恵が必要!

私が食事を提供させていただいている施設では、普通食⇒刻み食⇒極刻み食⇒ペースト食という段階で被介護者さんに合った食事の提供を行っています。

しかし、いくらその方に合った食形態(介護食のレベル)が望ましいとはいえ、勝手な判断で行ってはいません。食事のアレンジの判断は、必ず医師やケアマネージャーさんの指示が必要です。

大事なのは、その医師などの判断や指示と、被介護者さんの好みや性格をよく知っている現場や家族の知恵との組み合わせなのです。

ペースト食だと食べなかった方が!

介護
これはある被介護者さんの実際にあった話です。
この方は、医師の判断だと、ペースト食を提供すべき方でした。しかし実際には、ペースト食を全く食べていただけませんでした。

困った現場では、極刻み食にとろみ材を使用し、とろみをつけるという方法を試してみてはどうか、と話し合いました。医師からの許可も下りたので、そのような食事を提供したところ、あれほど食事を拒んでいたのに、なんと食べていただけたのです。
この被介護者さんの場合、食事をペースト状にしてしまい、1色だけの色の食事にしてしまうと、食欲がわかなかったのかもしれません。自分におきかえて考えると、その気持ちはよくわかります。

現場や家族が心の声を聞いて工夫を!

前述の話は、たとえ介護食の現場であっても、被介護者さんに楽しく食事を摂っていただくために、見た目や調理の工夫をしなくてはならない、という一例です。

多くの場合、自分だったらどうなのか?という視点で考えればおのずと答えは出てくると思います。
食形態(介護食のレベル)にばかり目をやるのではなく、現場のスタッフや被介護者さんのまわりの家族が、食べる人の心の声をキャッチして、好みなどに合った食事を工夫することこそが介護食には大切なことなのです。

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