高齢者にとって住み慣れた自宅であっても、必ずしも安全、安心だと言うわけではありません。古い日本家屋は木構造を基本としており、敷居などの小さな段差による高齢者の転倒事故が多発しています。また、住宅内でも温度差が大きいことから、冬場になると入浴中の心筋梗塞や脳出血などが増えることが知られています。では、当事者の高齢者は現在の住まいについて、実際どのように感じているのでしょうか。データで見ていきましょう。
データで見る介護の現在・過去・未来 その1「高齢化社会」
データで見る介護の現在・過去・未来 その2「高齢者の家族と世帯」
データで見る介護の現在・過去・未来 その3「高齢者の介護」
データで見る介護の現在・過去・未来 その4「地域別に見た人口」
データで見る介護の現在・過去・未来 その5「高齢者の生活環境」
データで見る介護の現在・過去・未来 その6「介護人材の需給バランス」
データで見る介護の現在・過去・未来 その7「介護職員の就業環境」
高齢者の約8割は現在の住居に満足。身体が弱っても自宅に留まりたい人が多い
60歳以上の高齢者に現在の住宅の満足度について聞いてみると、「満足」している人は賃貸住宅で12.5%、持家で34.6%、総合的には31.9%、となっています<図1>。
「ある程度満足」している人も加えると、総合的に76.3%の人が現在の住居に満足しているというデータが出ています。
<図1>現在の住居に関する満足度(平成27年版高齢社会白書 内閣府)
さらに、現在住んでいる住宅について不満な点は、「住宅が古くなったりいたんだりしている」が63.8%、以下、「住宅の構造や設備が使いにくい」が32.2%、「家賃、税金、住宅維持費等の経済的負担が重い」が24.8%となっています。(平成27年版高齢社会白書 内閣府)
身体が弱っても自宅に留まりたいと思う高齢者「約3分の2」
60歳以上の高齢者に身体が虚弱化したときに望む居住形態についてみてみると、「自宅に留まりたい」(「現在のまま、自宅に留まりたい」と「改築の上、自宅に留まりたい」の合計)とする人が日本では66.4%と約3分の2となっていますが、韓国、アメリカ、ドイツ、スウェーデンと比較すると、スウェーデンに次いで低い数字となっています。また、自宅に留まりたい人の中でも「改築の上」で留まりたいとする人の割合は、日本は韓国に次いで低いものの、5年前と比較するとやや上昇しています<図2>。(平成27年版高齢社会白書 内閣府)
<図2>虚弱化したときに望む居住形態(平成27年版高齢社会白書 内閣府)
屋内での事故「居室」45.0%、「階段」18.7%、「台所・食堂」17.0%
国民生活センターに医療機関ネットワーク事業の参画医療機関から提供された事故情報によると、65歳以上高齢者の方が20歳以上65歳未満の人より住宅内での事故発生の割合が高く、65歳以上高齢者の事故時の場所をみると、屋内での事故の場合、「居室」45.0%、「階段」18.7%、「台所・食堂」17.0%が多くなっています<図3>。(平成27年版高齢社会白書 内閣府)
<図3>高齢者の家庭内事故(平成27年版高齢社会白書 内閣府)
データで見る介護の現在・過去・未来 その1「高齢化社会」
データで見る介護の現在・過去・未来 その2「高齢者の家族と世帯」
データで見る介護の現在・過去・未来 その3「高齢者の介護」
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データで見る介護の現在・過去・未来 その5「高齢者の生活環境」
データで見る介護の現在・過去・未来 その6「介護人材の需給バランス」
データで見る介護の現在・過去・未来 その7「介護職員の就業環境」
まとめ
60歳以上の高齢者に現在の住宅の満足度について聞いてみると、高齢者の8割は現在の住居に満足しており、体が弱っても自宅に留まりたい人が多いことが分かりました。60歳以上の高齢者に聞いた「身体が虚弱化したときに望む居住形態」についてみてみると、「自宅に留まりたい」(「現在のまま、自宅に留まりたい」と「改築の上、自宅に留まりたい」の合計)とする人が日本では約3分の2を占めています。とはいえ、高齢者は家庭内事故が多く、最も多い事故時の場所は「居室」ということもデータから見えてきました。