「食べるのヒント」5周年企画!テーマ別レシピを作ろう 第1回「むらさき」編

在宅介護をされている方や施設ではたらく方に向けて、「介護食」にまつわる情報を発信している「食べるのヒント」。2019年からコンテンツがスタートし、おかげさまで今年5周年を迎えました。

記念すべき節目として、今回は特別企画を実施。題しまして、「テーマ別レシピを作ろう」です。実用的なものから昔懐かしい?ものまで、さまざまなテーマに沿ったレシピを紹介していく全4回の連載となります。第1回目のテーマは「むらさき」。秋らしさを感じるむらさき色のレシピ2品をご紹介します。

ご協力いただいたのは、「食べるのヒント」で介護食レシピをご考案いただいている管理栄養士の徳田泰子先生。大阪市内にあるクッキングスタジオで、一緒に調理をさせていただきました。

PROFILE


株式会社ヘルシーオフィスフー
代表取締役
管理栄養士・調理師
徳田泰子さん

「おいしく・楽しく・健康な暮らし」を実現する起業家として、栄養コンサルティング会社、株式会社ヘルシーオフィスフーを設立、その代表を務める。「食べるのヒント」では毎月レシピをご担当。

 

株式会社リブドゥコーポレーション
杉田明花里

2022年入社。大人用紙おむつ「リフレ」の通信販売や「介護のための「⾷べる」のヒント」を担当。少しでも多くの方に食事を楽しんでもらいたいと徳田先生のレシピを発信中。趣味はおいしそうなお店を探すこと(特にうどん屋をよく巡ります)。

 

抗酸化作用に優れた「むらさき食材」

杉田 徳田先生、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

徳田 こちらこそ、よろしくお願いいたします!

杉田 今回「食べるのヒント」の5周年ということで、いつもお世話になっている徳田先生と楽しい企画ができないかと思い、お声がけさせていただきました。


徳田 ありがとうございます。レシピを担当させていただいてから6年くらい。とても長くお世話になっています。

杉田 こちらこそ、いつも素敵なレシピを考えていただきありがとうございます!第1回目の今回は「むらさき」というテーマでメニューを考えていただきました。

徳田 むらさき色に絞ってレシピを作る…というのは初めてだったので、お話をいただいたときに面白そうだと思いました。むらさき色の食材はアントシアニンという色素を持っていて、ポリフェノールが豊富。抗酸化作用にも優れているので、健康的な身体作りのためには摂っておきたい食材ですね。今回は季節に合わせて「紫芋」を使ったレシピを考えました。ただ、時期によっては入手が難しいこともあるので、今回はスーパーや製菓用品店で購入できる紫芋パウダーを使用します。栄養や風味も食材自体と大きく変わらないため、便利にお使いいただけると思います。

杉田 今回ご提案いただいたのは「ポタージュスープ」と「蒸しパン」。介護食としてのポイントなどはありますでしょうか。

徳田 ポタージュは一般的な作り方よりも手軽にできるものを考えたのですが、スープがさらっとした状態に仕上がるので、最後に水溶き片栗粉を使ってとろみを出しています。 口あたりが良くなって飲みやすくなりますし、まろやかな味わいも楽しめます。蒸しケーキはホットケーキミックスで作った生地を、フライパンで蒸すだけの簡単なレシピなので、高齢者の方ご自身にも挑戦していただけると思います。

杉田 ありがとうございます。それではさっそく、調理をはじめていきたいと思います!

素材のおいしさを活かした「紫芋のポタージュスープ」

【材料(2人分)】

さつまいも    80g
紫芋パウダー   8g(小さじ2)
コンソメ     2g
塩こしょう    少々
牛乳       300ml
〈トッピング用〉*お好みで
ココアパウダー  小さじ2
水        適量

徳田 まずはポタージュスープを作っていきます。今回はベースの食材にさつまいも、色味を出すために紫芋パウダーを使います。まずはペーストにする下準備としてさつまいもをカットしていきましょう。

杉田 大きさはどのくらいが良いでしょうか?

徳田 火を通りやすくするために、小さめに切っていきましょう。ただ、薄くスライスにすると水分が飛んできゅっと固くなってしまうので、輪切りや乱切りが良いですね。切り終えたら、さつまいもを電子レンジであたためます 。事前に大さじ2杯くらいの水を回しかけておくと、パサつきを防げますし、次の工程でさつまいもをつぶしやすくなります。

杉田 あたためは大体何分くらいが良いでしょうか。

徳田 お芋の種類や素材の水分量にもよりますが、大体5分くらいでしょうか。全体に熱が通ったら、マッシャーなどでつぶしていきます。全体がマッシュ状 になったら 鍋の中に入れて、紫芋パウダーと混ぜ合わせます。そのあと牛乳を少しずつ加えていきましょう。

杉田 (カメラを向けられると)ちょっと緊張しますね…(笑)

徳田 ふふふ(笑)。混ぜ終えたらこげないように弱~中火 にかけて、コンソメと塩こしょうで味付けしていきます。ふつふつ と沸いてきたら一旦火を止めて、水溶き片栗粉を加えて混ぜていきます。

杉田 ここで、片栗粉ですね。

徳田 はい、ダマにならないようにしっかり混ぜましょう。最後にさっと火にかけたら完成です。

杉田 これでポタージュスープのできあがりですね!淡いむらさき色がとてもきれいでおいしそうです。さっそくいただきたいところですが…しばらくお預けにして、蒸しケーキの調理にうつりたいと思います。

ホットケーキミックスで作れる「紫芋の蒸しケーキ」


【材料(4個分)】

ホットケーキミックス  80g
紫芋パウダー      4g(小さじ1)
シロップ(はちみつ)  大さじ1
牛乳          100ml
レモン汁        小さじ2
サラダ油        小さじ1
レーズン        適量

徳田 まず、ホットケーキミックスと紫芋パウダーを混ぜ合わせていきます。そのあと牛乳とはちみつを入れて、さらにレモン汁、サラダ油を加えてよく混ぜます。はちみつはシロップなどで代用いただいてもかまいません。

杉田 レモン汁は味付け用でしょうか?

徳田 実は、色味をきれいに出すためのものなんです。むらさき色の食材は、生地をふんわりさせるために使う卵などと混ぜ合わせると、全体が灰色っぽくなることがあるんです。

杉田 灰色に…!

徳田 これはアントシアニンがアルカリ性の卵白と反応してしまうことが原因です。今回卵は使っていないのですが、他の食材の影響を受けないように酸性のレモン汁を使って色が傾くのを防いでいます。

杉田 なるほど…お菓子作りなどでも卵はよく使われるので、覚えておきたいですね。

徳田 次に、混ぜ合わせた生地をシリコンカップに流し込んでいきます。カップを軽く台に 落とすようにして、余分な空気を抜きましょう。

杉田 トッピングには、生地の色と合うレーズンを選んでいただきました。

徳田 レーズンには食物繊維や鉄分、ポリフェノールなどが豊富に含まれています。ドライフルーツは小さな粒のなかに栄養がぎゅっと詰まっているので、ご高齢の方にもおすすめです。

杉田 では、レーズンを生地の上に乗せていきますね。

徳田 次にフライパンに1.5㎝ほど水をはり、キッチンペーパーを敷いた上にカップを並べていきます。蓋をして中火くらいの火にかけて、7~8分ほど蒸していきましょう。


(…8分経過…)

杉田 とてもいい匂いがしてきました。見た目もふっくらしておいしそうです!蒸しケーキも完成したところで、さっそく2品をいただきたいと思います!

おいしさと見た目を一緒に楽しんで

徳田 今回は時期も近いということで“ハロウィン”デコレーションを。蒸しケーキはシリコンカップのまま紙製カップに入れて、魔女の帽子型のケーキピックで飾り付けしました。ポタージュスープはココアパウダーを使った「クモの巣」アートです。こちらは杉田さんにもトライしていただきました。

杉田 これが一番難しかったです…(笑)。

徳田 お味はいかがでしょうか。

杉田 ポタージュスープ、とてもおいしいです!素材の味がしっかりして、食べ応えがありますね。むらさきの淡い色が徳田先生にご用意いただいた器ともマッチしていてとてもきれいです。

蒸しケーキもお芋の風味が活きていますね。弾力もあってもっちり、1個でもかなり満足感が得られます。


徳田 調理の方はいかがでしたか。

杉田 どちらのレシピも簡単に作ることができました。季節に合わせてデコレーションすることで、食卓も華やかになりそうです!

徳田 「むらさき」色のレシピは、おいしさとともに見た目でも楽しんでいただけると思います。ご家族や施設の皆さんでぜひ一緒に作ってみてほしいですね。

「食べるのヒント」5周年企画、第1回目は「むらさき」レシピをご紹介しました。第2回のテーマは「非常食」。もしものときに備える、高齢者の方のためのレシピをお届けします。次回もぜひご覧ください!