やさしすぎる食事が、食べるチカラを弱めてしまうことも!?

私たちにとって、「食べる」ことは、当たり前のことのように思えます。食べ物を口に入れると、無意識のうちに、噛む、飲み込むという動作を繰り返しています。ですが、高齢になるとこれらの動作がスムーズにできず、食事をとるための周辺機能の低下が起こります。楽しみであるはずの食事が、高齢者にとっては負担となることもあるのです。
食事を提供する側の私たちは、食べてほしい、元気になってほしいと願う気持ちから、「食べやすさ」ばかりを追求してしまってはいないでしょうか?場合によっては、過度な食べやすさで本来の機能を弱めてしまわないように配慮し、個人の食べるチカラに合わせて食事を工夫することが必要となります。

高齢者食と介護食の違いって?

一般的には、高齢者食とは、特別な食事ではなく、加齢に伴って起こるからだの変化に適応した食事のことです。工夫次第でご家族や一般食の方と同じような食事をとることができます。一方、介護食とは、弱まった機能を補ってくれる食事のことです。誤嚥(ごえん)を防ぐためにも、個人の体調や噛む力、飲み込む力などにあった食事の形状(食事形態)が必要になります。

【加齢に伴って低下しやすい「食べるチカラ」】1.噛む力       (噛み切ったり、咀嚼したりする力)

2. まとめる力     (飲み込みやすいように、唾液で食べ物をまとめる力)

3.飲み込む力     (食べ物を口の奥に送り、のどから食道・胃へ送る力) など

過度な食べやすさは、「食べるチカラ」を弱める!?

例えば、噛む力が低下して噛み切ることが難しい食べ物の場合、すべてを細かく刻んでしまわなくても、必要に応じてひと口サイズに切ったり、見た目にわからない程度に隠し包丁を施したりすることで、噛み切りやすくなります。「食べる」ことに関する周辺機能は、動かさないと衰えてしまいます。個々のレベルに合わせ、機能低下を招かないように、そばで見守りながら食事を提供することを心がけましょう。

食欲が低下しがちな方の場合は、彩り、香り、形、盛り付けの工夫をすると食べようという気持ちが生まれます。また、雑音が多くザワザワ・ガヤガヤという食事環境は、食事に集中できない場合があります。ゆったりとした気持ちで席についていただくなど、「食べたい」、「食べよう」と思える食事環境づくりも、高齢者の低栄養を防ぎ、介護予防へとつながります。

「やさしさ」だけじゃなく、「食べるチカラ」を考えた食事を!

食べやすい食事には、やさしさが詰まっています。ですが、必要以上に食べやすくしないことが、「食べる」という大切な機能の維持につながり、介護予防になる場合もあるということを知っていただければと思います。

食べることは、生きること。つまり、食べるチカラを維持することは、生きるチカラを強くしていく方法のひとつかもしれませんね。