食べられないとあきらめないで!ひと工夫で食べやすくなる料理テク

大好きだった料理が、噛む力や飲み込む力の低下により、食べにくくなってしまったという声をよく聞きます。いつまでも食事を楽しむためにも、カンタンに、ひと工夫で「食べたい」という思いを持ち続けていただきたいと思います。

今回は、料理をひと工夫することで「食べやすさ」を補うテクニックをご紹介したいと思います。いつまでも自分のチカラで食べたいものが食べられるように元気な毎日を過ごしたいものです。

お肉は、高温加熱すると硬くなる

高齢者の方々に「食べたいものは?」と尋ねますと、お造り(刺身)、ステーキ、トンカツなどが上位になります。噛むチカラが弱くなった方もあきらめず、できるだけ皆と同じように料理を食べてほしいもの。そのためには、噛むチカラを補ってくれる介護食の料理テクニックをぜひ活用してください。

噛むチカラを補ってくれる介護食テク

*トンカツ:肉などのたんぱく質は、加熱をすると硬く身が絞まり変化します。さらに脂肪分も外に出て、噛むことが難しい場合があります。例えば、豚の薄切り肉を重ねてカツにしても、肉同士がくっついて硬くなってしまうため、チーズや豆腐などを肉と肉の間に挟むと軟らかく食べやすくなります。

*お造り(刺身)/ステーキ:まぐろなどの赤身はやわらかく、比較的食べやすいと思いますが、鯛などの白身魚であっても身の絞まった魚は、食材に対して薄く斜めに包丁を入れる「そぎ切り」や通常の形でありながら目立たないように包丁で切り目を入れる「隠し包丁」を入れると、噛みきりやすくなります。加熱すると硬くなるステーキは、ひと口大や筋を切る、隠し包丁を入れるなどがおすすめです。

*おから:おからは、昔からなじみのある定番のお惣菜ですが、口に含んだ時のボソボソ感と唾液の少ない高齢者にとっては、まとまりにくく、口の中に食べカスが残り、誤嚥の原因になりかねません。最近では、「しっとりとしたおから」もスーパーなどで見かける機会も多くなりましたので、高齢者には、しっとりとしたおからの活用をおすすめしています。さらに調理の際は、やや汁気を多めにして、最後は片栗粉を回し入れ、まとまりよくすると家族と一緒の食事が楽しめます。

まとめ

食べる機能の変化は、個人によって様々です。以前と全く同じとはならなくても、「あれもダメ、これもダメ」と言わず、ぜひ介護食のテクニックで新しいおいしさを発見してほしいと思います。からだの変化に寄り添って、楽しい食事時間を過ごしてください。

■この記事に関するおすすめレシピ
豚肉ロースと木綿豆腐のミルフィーユカツ

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