「Live+Do(ライブプラスドゥ)」で、高齢者の方の食事にまつわる情報を紹介している「⾷べるのヒント」。その開設5周年を記念した企画として、お題となるテーマに合わせたスペシャルレシピをお届けしてきました。最終回のテーマは「縁日」。今回も、毎月公開しているレシピ記事でお世話になっている管理栄養⼠の徳⽥泰⼦さんに、みんなで作れる“縁日レシピ”を教えていただきました。
PROFILE
株式会社ヘルシーオフィスフー
代表取締役
管理栄養士・調理師
徳田泰子さん
「おいしく・楽しく・健康な暮らし」を実現する起業家として、栄養コンサルティング会社、株式会社ヘルシーオフィスフーを設立、その代表を務める。「食べるのヒント」では毎月レシピをご担当。

株式会社リブドゥコーポレーション
杉田明花里
2022年入社。大人用紙おむつ「リフレ」の通信販売や「介護のための「⾷べる」のヒント」を担当。少しでも多くの方に食事を楽しんでもらいたいと徳田先生のレシピを発信中。趣味はおいしそうなお店を探すこと(特にうどん屋をよく巡ります)。
食卓を囲みながら、和気あいあいと作れるものを
杉田 最終回のテーマは「縁日」ということで、夏祭りなどで目にする屋台の食べ物を取り上げたいと思います。
徳田 お祭りは一つの場所にたくさんの催し物が集まる非日常的な空間で、大人も子どももワクワクするイベントですよね。
杉田 そういえば、屋台に並んでいる食べ物ってあまり時代ごとの差がないイメージです。かき氷にりんご飴、唐揚げにたこ焼きなど、みんなが大好きなものばかりですよね。

徳田 確かに。そういう意味では、お年を召したおじいちゃんやおばあちゃんから小さなお孫さんまで、みんなで楽しめるテーマと言えるかもしれません。
杉田 ただ、食べやすさの観点からすると、レシピの候補が絞られる気がします…。
徳田 一見これは無理かも…と思われるものが多いかもしれません。ただ、工夫次第では食べやすくできるんですよ。例えば唐揚げ。お肉を細切りにした状態で揚げれば、口を大きく開けづらい高齢者の方でも食べやすくなります。たこ焼きは、タコの代わりにちくわを使うことで、柔らかな食感を楽しめます。
杉田 形や大きさを工夫したり、代わりの食材を使ったりすることで、縁日の食べ物を楽しめるんですね!
徳田 はい。今回はそのなかでも、みんなで作れるレシピとして「焼きそば」と「ベビーカステラ」を選びました。
杉田 “みんなで作れる”ですか。
徳田 はい。ご家族の集まりや施設のレクリエーションで楽しめるように、みんなで作れるものがいいなと。キッチンで黙々と調理するというよりは、食卓を囲みながら和気あいあいと作るイメージです。
杉田 それが、焼きそばとベビーカステラですね。
徳田 はい。焼きそばは、野菜を電子レンジで温めてから麺と一緒に炒めるだけですから、簡単に作れると思います。今回調理にはフライパンを使いましたが、ホットプレートを使えば屋台感が演出できるかもしれませんね。一方のベビーカステラは、ご家庭用のたこ焼き器を使います。
杉田 たこ焼き器で作るんですか!

徳田 そう。生地を流し込んで、竹串でくるりと回すだけなので、とっても簡単です。今回は見た目がかわいい鈴カステラに挑戦します。
杉田 どんな仕上がりになるんでしょうか、作るのも食べるのも、楽しみです!
レンジで野菜を柔らかく!パッと作れるソース焼きそば

【材料(2人分)】
焼きそば麺 2玉(260g )
豚バラ肉 80g
キャベツ 100g
もやし 60g(洗ってヒゲ取り)
にんじん 20g
ピーマン 1個
油 適量
とんかつソース 大さじ4
塩こしょう 少々
紅しょうが 適量
青のり 適量
粉かつお 適量
徳田 まずは焼きそばから作っていきましょう。最初に野菜の準備から。キャベツは2cm角に切り、にんじんは1cm幅の短冊切りにします。ピーマンは適度に食感を残すため斜め切りに。
杉田 もやしはどうしましょう。
徳田 少し手間ではありますが、ヒゲを取り除いておきましょう。ヒゲ取りをしておくことで臭みを抑えられますし、“シャキッと感”がアップします。準備した野菜は水でさっと洗い、濡れたまま耐熱ボウルに入れて、ラップをふんわりとかけて電子レンジで加熱します。大体500Wで1分くらいが目安です。

杉田 電子レンジは“時短調理”の強い味方ですもんね。
徳田 はい。それからもう一つ、芯のある野菜を柔らかくするメリットもあるんです。野菜に含まれる水分を利用することで、短時間でもしっかり熱を通すことができます。
杉田 手軽に野菜を柔らかくできるのは、うれしいですね。
徳田 次は、お肉を炒めていきます。フライパンを中火にかけ、薄く油を引いたら豚バラ肉を入れます。全体に火が通ったら、軽く塩こしょうを振っておきましょう。
杉田 続いて、麺ですね。
徳田 フライパンに麺を入れ、焼き色が付くまで炒めます。次に野菜をすべて入れ、さっと軽く炒めましょう。最後にソースを加えて全体をからめるようにして味を調えたら、舟皿に盛り付けます。お好みで紅しょうがや青のり、粉かつおをトッピングしたら完成です。

杉田 ソースのいい香りが食欲をそそりますね。次はカステラ作りに挑戦です!
たこ焼き器で作る、ふんわりベビーカステラ

【材料(2人(10個)分)】
ホットケーキミックス 70g
卵 1/2個
牛乳 60ml
はちみつ 大さじ2
油 適量
徳田 まずはボウルに卵を割り入れ、均一になるようしっかり混ぜます。そこへ牛乳とはちみつ、ホットケーキミックスを加えて混ぜます。
杉田 ダマにならないように…ですね。
徳田 混ざりきったら、焼く準備に移りましょう。たこ焼き器の鉄板部分に手をかざし、熱を十分に感じるようになったら、穴の部分に薄く油を引きます。
杉田 続いて、生地の流し込みですね。
徳田 生地の量は穴の「半分程度」がポイントです。
杉田 なるほど…!入れ過ぎには注意ですね。

徳田 すべての穴に流し込んだら、焦がさないように注意して焼きます。生地の周囲が盛り上がってきたら、竹串などで持ち上げ、隣の生地の表面に重ねてひとまとまりにします。
杉田 2つの半球をくっつけて、一つの球を作るイメージですね…おお!鈴の形になりました。
徳田 上手です!残りも、順番にやっていきましょう。

徳田 できあがった鈴カステラをカップに入れます。
杉田 これで完成ですね!さっそくいただきたいと思います。
準備をして、作って、食べる——そのプロセスをみんなで楽しむ

徳田 冷めないうちに、まずは焼きそばからいただきましょう。
杉田 とってもおいしいです。野菜も特別小さく切ったわけではないですが、しんなり仕上がっているので高齢者の方でも食べやすいと思います。
徳田 よかったです。わたしはカステラをいただきます。
杉田 見た目がとてもかわいいですね。優しい甘さなので、何個でも食べられそうです(笑)。

徳田 今回は“屋台感”を出すために、器にもこだわりましたね。
杉田 はい。日常的に使っているお皿では出せない特別感を演出できたんじゃないかと思います。どんな器にするとか、何を使って作るとか、そういった会話もみんなで楽しめる要素の一つだと思います。
徳田 そうですね。一緒に準備をして、作って、食べる。その中で生まれるワクワク感やちょっとした特別感をみんなで共有することが、「食べたい」という気持ちにつながるといいですよね。

杉田 テーマ別レシピは今回で最後となりますが、徳田先生いかがでしたか。
徳田 初めて挑戦するテーマもあり、個人的にも新しいことに取り組めた企画でした。杉田さんと一緒にお話ししながら作るのも楽しかったですね。
杉田 こちらこそ、実際に作ってみることで発見できたことがたくさんありました。せっかくオリジナルのエプロンも作ったので、またご一緒にお料理を作りたいです(笑)。徳田さん、ありがとうございました!

最終回は、「縁日」をテーマにした2品を紹介しました。徳田さんのご協力のもと、全4回にわたってお送りしてきたこの企画。ご紹介したレシピの数々が、高齢者の方の“食べたい気持ち”を引き出すヒントになっていれば嬉しいです。
—– 関連リンク —–
【第1回】「食べるのヒント」5周年企画!テーマ別レシピを作ろう 第1回「むらさき」編