誰でもすぐできる!“ただ笑うだけ”の健康法とは?

2010年、世界中がかたずを飲んで見守ったチリのサンホセ鉱山落盤事故。その救出劇は、今もなお感動的な出来事として世界中の人々の記憶に残っているのではないでしょうか。33名の鉱山作業員が地下700メートルの避難所に閉じ込められ、17日間連絡が途絶えたものの、その後無事であることが確認され、事故から69日後に全員が救出されました。後日、作業員のチームリーダーが朝日新聞のインタビューに対し、過酷な状況の中で生き抜くことができた理由について、「希望があったこと、楽観的であり続けたこと、そしてユーモアを忘れなかったこと」と答えたのです。このことは、ユーモアや「笑い」がいかに、「ヒトの生きる力」と密接に関わるかを物語っています。今回は「笑いのチカラ」に迫ってみたいと思います。

“笑い”で免疫力が高まる?

笑いに関しては様々なデータがありますが、「声を出してよく笑う」を性別でみると、男性40%、女性60%で、女性のほうがよく笑うことが分かっています。

世代別では、「よく笑う」は30代が65%、40代が50%、50代が45%という調査報告が示すとおり、やはり年齢が若い方がよく笑うようです。これは年齢とともにストレスが増え、笑えなくなることが原因とされています。小学生は1日に平均300回笑うのに対し、70代では1日に2回程度しか笑わないとの報告もあるほど。確かに我が身を振り返ると、幼い頃は体を使い大声で笑っていたという方が多いのではないでしょうか?

私たちが笑うと、免疫のコントロール機能をつかさどっている間脳に興奮が伝わり、情報伝達物質の神経ペプチドが活発に生産されます。笑いが発端となって作られた善玉の神経ペプチドは、血液やリンパ液を通じて体中に流れ出し、NK細胞の表面に付着し、NK細胞を活性化します。その結果、がん細胞やウイルスなどの病気のもとを次々と攻撃するので、免疫力が高まるというわけです。

“笑い”が血行促進や記憶力をアップさせる

  • 血行促進

思いきり笑ったときの呼吸は、深呼吸や腹式呼吸と同じような状態。体内に酸素がたくさん取り込まれるため、血のめぐりがよくなって新陳代謝も活発になります。

  • 脳の働きが活性化

脳の海馬は、新しいことを学習するときに働く器官で、笑うとその容量が増えて記憶力がアップします。また、“笑い”によって脳波のなかでもアルファ波が増えることで脳がリラックスするほか、意志や理性をつかさどる大脳新皮質に流れる血液量が増加するため、脳の働きが活発になります。

“笑い”と“ヨガ”を組み合わせた「ラフターヨガ」とは?

「笑い」と「深呼吸や腹式呼吸」を組み合わせることで、心身を活性化させる方法をご存知でしょうか?だれでもすぐにでき、冗談、ユーモア、コメディーに頼らない「ただ笑うだけ」の画期的なエクササイズが「ラフターヨガ(笑いヨガ)」です。ただ笑うだけのエクササイズなので、年齢性別、障害の有無に関係なく、特別な器具を用意する必要もありません。誰でも楽しみながら自分のペースで行うことができるのが特徴です。

「ラフターヨガ」の4つの基本要素

  1. 笑いを誘う「ラフターエクササイズ」
  2. 手拍子とかけ声(ラフターエクササイズの終わりの合図)
  3. 深呼吸
  4. 子供の様な無邪気な遊び心を思い出し、心を解放する

ラフターヨガは、ストレス解消やうつ病軽減にも効果的!

ラフターヨガには、心身を健康にしてくれるさまざまな効果があります。酸素が血液とあらゆる主な臓器に充分に行きわたることで、心身ともにエネルギーが満ちあふれた状態になり、ストレスレベルが75%以上も減少し、ストレスが軽減するのが実感できます。 また、エンドルフィン(痛みを抑える物質)のレベルが上がるので、気分がよくなる上、様々な痛みが軽減されます。さらには、自信が高まり、コミュニケーションスキルや創造性が高まる上に血圧や脈拍が安定することでリラクゼーション効果を得ることができます。

そのほか、ラフターヨガはうつ病にも効果的だと言われています。笑うことでうつ状態が軽くなり、慢性的なうつが軽減されたという声も寄せられており、ストレスによって低下している免疫系、消化器系、生殖系状態がよくなるとされています。

リンパ系の循環が活性化し、血行がよくなり、心身共に元気になることが医学的にも実証されているラフターヨガ。日々の息抜きや、施設でのレクレーションのひとつに加えてみませんか?

まとめ

“笑い”は血行を促進して新陳代謝が活発になり、NK細胞までも活性化することができるので、ストレスを軽減し、健康な体を保ち続ける一役を担うことができます。子供の頃のように大声で笑えない大人でも、効果的に笑いを取り入れられるのが「ラフターヨガ」です。初対面の他人とグループになり、笑うエクササイズを行うことで、最初は作り笑いから始まりますが、目を合わせたりしているうちに互いの気持ちが伝わり、気づいたら自然な笑いに生まれ変えることができます。日々に“笑い”のある生活を心がけ、健康的な心身を手に入れましょう。

関連記事
今日から始められる!認知症にならないための「3つのトレーニング」