【実話】在宅療養と抱えない介護〜祖父母を介護する母親を横で見ていた息子目線の介護録③〜

在宅介護をしたくても、いろいろな理由や環境があって、家で看られない人も多いかもしれません。その一方で、やはり認知症の根本にあるのは在宅療養だとも言えます。住み慣れた町で普段通り生活する方が認知症は進行にしくいのではないでしょうか。

徘徊や暴言、近隣への迷惑など、家族に負担がかかる時期は確かにありますが、良い医療と介護があれば最期まで自宅で看ることは決して不可能なことではありません。そこで大切なことが“人とのつながり”です。抱えすぎない介護という視点もまじえて、特定非営利活動法人つどい場さくらちゃん理事長・丸尾多重子さんとともに読み解いていきたいと思います。

【実話】介護する人と介護される人のキモチをつなぐ考え方 〜祖父母を介護する母親を横で見ていた息子目線の介護録①〜
【実話】介護する人と介護される人のキモチをつなぐ考え方 〜祖父母を介護する母親を横で見ていた息子目線の介護録②〜
【実話】介護する人と介護される人のキモチをつなぐ考え方 〜祖父母を介護する母親を横で見ていた息子目線の介護録③〜
【実話】後悔しない介護を考える〜祖父母を介護する母親を横で見ていた息子目線の介護録④〜

ケアマネやお医者さんとの出会いを大切に

私の祖父母は14年ほどの介護生活の中で、それぞれ施設に入所していた時期がありましたが、幸いにも最期は家で看取ることができました。「もって3日」といわれ家へ引き取った祖母は家に帰ってから5年生き、祖母が亡くなったのを機に、まだまだ生きると思って引き取った祖父は家へ引き取って3日目にこの世を旅立ちました。施設に入所する前の祖母の暴言暴力は凄まじかったため、家に引き取るかどうかで家族間の意見もわかれましたが、一番お世話をしていた母親の願いを叶えてあげたいという気持ちが決め手でした。入所中に窒息や転倒があり、ベッドに寝たきりの状況だったから看られたこともありますが、やっぱり家で介護できたのは、最初から良いケアマネとお医者さんに恵まれたから。祖父母に老いて亡くなる姿を見せてもらえたことは「悲しいけど、とても幸せ」という充実感を私たち家族に与えてくれました。

デイサービスの朝は暴れてしまう祖母

施設へ入所する前の祖母といえば、デイサービスを利用する日の朝は大変でした。送迎車が迎えにくる1時間半前に起こして、朝食を食べさせたら「さぁ!今日はデイサービスよ、準備しよう」という母親のひと言がトラブルの始まりです。
祖母は「服はどうする?」、「鞄に入れる荷物や財布はどうする?」(べつに持って行かなくてもいいんですが…)と、大混乱と不安で最後は大爆発しながらも、なんとか送迎車の前まで連れて行くと外面の良さで少し大人しくなって去っていきます。なぜ祖母に直前に伝えていたかというと、前日に伝えてしまうと夜中から大暴れしてしまうから。
今振り返ってみると無理にデイサービスに連れて行かなくても良かったのかもしれませんが、やっぱりホッとひと息つく時間も欲しかったような気がします。

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人とのつながりで、心の負担を軽くする

在宅療養の鍵はケアマネ選びだと思いますよ。なんといっても介護は長期戦を覚悟しないといけませんから。いま思うような介護ができていない人は“ケアマネを変えることができる”ことを忘れないでください。
良いケアマネはデイサービスやショートステイの活用のコツも教えてくれますよ。いまでは東京に暮らす娘さんが親の住む関西まで週末に戻ってくるような遠距離介護も増えてきました。核家族化される前といえば大家族が一つ屋根の下に暮らして、子どもたちは祖父母の「老い」も「死」も体感していたと思います。老人も自分で工夫して生きていましたよね。歩けなくなったら車いすではなく、床を這ってでも移動していましたよね。そんな老いて死にゆく姿を子どもや孫に見せてあげることも大切。
在宅療養はいろんな人の支えがあってできること。“つどいば”のようなところで同じ悩みを抱えている人同士がつながると心が前向きになります。抱えない介護とは介護を誰かに任せることではなく、人とつながることで心の負担を軽くして、ほんの少しの勇気や想いをもって社会や制度を良くしていこうとすること。それは自分が介護される立場になったときにも役立つと思いますよ。

<丸尾多重子さん プロフィール>

「介護する人、される人の垣根を越えて、みんながまじくる(交わる)場が大切です」
特定非営利活動法人つどい場さくらちゃん理事長。兵庫県西宮市で「つどい場さくらちゃん」を運営。介護する人と介護される人が集い、一緒に昼食をしたりお茶をしたりするなかで、情報交換する場を作っている。講演やテレビ・ラジオ・新聞など出演多数。『心がすっと軽くなる ボケた家族の愛しかた』(高橋書店)、『ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!』(ブックマン社)など著書多数。
つどい場さくらちゃんウェブサイト:http://www.geocities.jp/tsudoiba_sakurachan/

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