ケガや入院で「寝たきり介護」にならないために。

ケガや入院がきかっけで介護生活がはじまる、というケースは結構多いそうです。特に骨折などのケガは歩行を困難にし、ベッド生活になることも多く、その後の生活を大きく左右します。今回は、介護が必要にならないための「病院から退院した後にとるべき対処法」についてご紹介します。

まずは、ケガの防止が第一。

「元気だった母親が室内のカーペットに足を引っ掛けて、つまずいて転倒…。骨折して、入院してしまった…。」なんていうお話をよくお聞きします。意外に感じる方もおられるかもしれませんが、屋外だけでなく、「家の中」にも、いろいろな危険が潜んでいるんです。

家でのケガを減らす対策としては、室内の段差をなくし、なるべくユニバーサルな空間にすること。それにより、つまづくリスクが軽減されます。後は、通路や階段に手すりを設けたり、床材に滑りにくいものを使用したりするなどの対策も考えられます。

親の介護が必要になったとき、「寝ていてくれた方が楽」って本当?

次に、ケガや病気をしてしまった場合について考えてみましょう。病院から退院してきたときに、まず心がけたいことは「寝たきりにはしない」ということ。「また家の中で事故にあったら大変だから、無理せず寝ていてくれた方が楽」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、それは間違いです。では具体的にどうするのがベストなのでしょうか?

高齢生活研究所代表の浜田きよ子さんは次のように話します。

寝たきり状態が続くとますます心身の機能は低下していきます。寝たままの状態では骨ももろくなり、折れやすくなる。排泄をおむつの中ですましていると介護も大変だが、褥(じょく)瘡(そう)(床ずれ)もできやすくなる。そうなるとますます介護が必要になるし、費用もかさんでくる。それに本人も寝たままの人生はつまらない。

そこで大切なのが、環境をととのえて、起き上がりやすい状況を作ることである。座ることができれば、何より排泄がしやすくなる。それに車いすにも移りやすい。起き上がることで本人のできることが増え、長い目で見れば介護負担の軽減につながる。

まとめ

人は寝たきり生活を続けると筋力は落ち、骨がもろくなります。寝てばかりだと介護は大変になり、回復が遅くなります。それに本人も寝たままの人生では楽しみがありません。少しずつでも起き上がる状況を作ってあげることで、家族にとっても本人にとっても負担が減るのです。

記事協力:高齢生活研究所代表 浜田きよ子さん
出典:浜田きよ子著「介護の常識」講談社
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