いつまでも住みやすい地域に!地域包括ケアシステムと総合事業の流れ

地域包括ケアシステムと総合事業の流れ

超高齢社会となりつつある昨今、医療・介護・住まいなど、高齢の方に向けた生活支援サービスを市町村が中心となって総合的に行う事業を「地域包括ケアシステム」と呼びます。これは高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を営むために必要なサポートを提供するために作られた仕組みで、生活支援や介護予防などのサービス(総合事業)をはじめ、さまざまなものが利用できます。上手に活用していきましょう。

地域包括ケアシステムの確立

地域包括ケアシステムは2005年の介護保険法改正に伴い、地域包括支援センター(地域住民が介護や医療について相談できる総合窓口)の創設が打ち出され、支援体制が整備されたことをきっかけに始まりました。

住まい、医療、介護、生活支援、予防といった5つの要素をそれぞれ充実させるとともに、それらをネットワークとして相互に関係し連携し合いながら、地域*で一体的に提供していくことを目的とした仕組みとなっています。
*地域包括ケアシステムにおける「地域」は、おおむね30分以内にサービスが提供できる日常生活圏(中学校区程度の範囲)を指します。
地域包括ケアシステムの確立

地域包括ケアシステム・5つの要素

1)住まい
住まいは生活の基盤となる大切な要素。自宅や適切な施設など、経済状況や身体機能、必要なケアに応じた住まいの提供をサポートします。
自宅の改修:段差を減らした車椅子でも生活しやすい住居や、転倒しないための手すりの設置など、自宅での不便さを解消するためのバリアフリー改修を支援します。
高齢者向け賃貸住宅・介護施設の提供:安否確認や生活相談サービスが付いた賃貸住宅を提供します。高齢者向けのバリアフリー設計が特徴で、自立した生活を送れる方が入居対象となります。(賃貸住宅の保証人確保など、住まいに関する手続き支援なども含まれます)

2)医療
体調を崩した時に適切な医療を受けられるように、地域全体で継続的な医療体制を整えます。
かかりつけ医:健康に関することを総合的に相談できる身近な医師。必要な時には専門医や専門医療機関の紹介をしてくれることもあります。
病院:専門的な治療を受けることができます。
訪問診療:通院が困難な方のもとに、医師が定期的に訪問し、治療や看護、健康管理などを行います。

3)介護
要介護状態(生活を送る上で介護が必要な状態)になった時、個別の状況に合わせた適切なサービスを受けられるようにします。
訪問介護:介護福祉士やホームヘルパーが自宅に訪問し、入浴・排泄・食事などの介護や、掃除・洗濯・調理・通院時の外出移動などの支援を行います。
デイサービス:デイサービスセンターなどの施設へ日帰りで通い、入浴・排せつ・食事の介護や、機能訓練などを行います。(自宅~施設間の送迎も可能)
ショートステイ:在宅介護を受けている高齢者が、短期間施設に入所して日常生活全般の介護や支援を受けるサービスです。介護保険が適用されるものと、適用外の有料ショートステイがあります。

4)生活支援
日常生活のちょっとした困りごとなど、医療や介護だけではカバーできない部分で支援を行うサービスです。
地域での見守り:普段から地域住民同士がお互いに声かけを行うことで、周囲が小さな変化に早く気づき、深刻な状況になる前に支援へとつなぐことができます。
配食サービスの提供:一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯などを対象に、見守りを目的とした配食を行います。
買い物代行支援:日用品などの買い物を代行します。

5)予防
病気や介護が必要な状態になることを防ぎ、いつまでも健康的で自立した生活を送るための取り組みです。
健康講座の実施:栄養指導や運動指導などを行います。
介護予防教室の実施:筋力向上に役立つトレーニングなどを行います。
口腔ケアの指導:定期検診で口腔内の健康状態をチェック、指導します。

サービス利用の流れ

では、実際にこうした地域包括ケアシステムのサービスを利用する場合、どのような手順や手続きが必要なのでしょうか。

地域包括ケアシステムの中の1つ、生活支援や介護予防などのサービスは「総合事業」と呼ばれますが、これらのサービスを利用する場合、どのような手順が必要なのかを具体的に見てみましょう。
サービス利用の流れ

STEP1 最寄りの地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターは高齢者の介護・医療・保健・福祉など、さまざまなサポートに関する総合相談窓口です。(対象は65歳以上の第一号保険者*となります)

各市町村によって運営されていますので、まずはお住まいの地域の地域包括支援センター窓口へ相談しましょう。

*日本国内に住む20歳以上60歳未満の自営業者、農業従事者、学生、無職の人など、国民年金に加入し保険料を自分で納める人。その他40歳以上65歳未満の方で、医療保険に加入している方のうち、特定疾病が原因で介護・支援が必要な方も介護保険の対象となります。

STEP2 要介護認定を受ける

要介護認定とは、被保険者が介護を必要とする状態であるかどうか、日常生活の動作などをもとに保険者が認定するものです。

審査は一次、二次の二段階で行われ、一次審査ではまず認定調査員による訪問調査を実施し、その結果と被保険者の主治医による意見書の内容からコンピュータで判定が行われます。二次審査では介護認定審査会によって主治医意見書の確認が行われ、最終的に要支援・要介護度が認定、通知されます。

要支援1~2、要介護1~5と認定された場合、ケアプランが作成され、必要に応じた介護サービスや介護予防サービスを受けることができます。
要介護認定

STEP3 基本チェックリストの実施

要介護認定において非該当となった場合でも、一般介護予防事業(介護が必要な状態になることを防ぎ、健康寿命の延伸と生活の質の向上を目的としたサービス)を利用することが可能です。

厚労省によって作成された「基本チェックリスト」を実施し、25のチェック項目から対象者の現在の様子や事業対象者に該当するかどうかが判定されます。

【暮らしぶり①】

1)バスや電車で1人で外出していますか
2)日用品の買い物をしていますか
3)預貯金の出し入れをしていますか
4)友人の家を訪ねていますか
5)家族や友人の相談にのっていますか

【運動器機能】

6)階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
7)椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がれますか
8)15分くらい続けて歩いていますか
9)この1年間に転んだことがありますか
10)転倒に対する不安は大きいですか

【栄養・口腔機能】

11)6か月で2~3kg以上の体重減少がありましたか
12)BMI=体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)が18.5未満ですか
13)半年前に比べて硬い物が食べにくくなりましたか
14)お茶や汁ものなどでむせることがありますか
15)口の渇きが気になりますか

【暮らしぶり②】

16)週に1回以上は外出していますか
17)昨年と比べて外出の回数が減っていますか
18)周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われますか
19)自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
20)今日が何月何日かわからない時がありますか

【心的状態】(ここ2週間の状態について)

21)毎日の生活に充実感がない
22)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
23)以前は楽にできていたことが今では億劫に感じられる
24)自分が役に立つ人間だと思えない
25)わけもなく疲れたような感じがする
基本チェックリスト

【チェック結果】

上記のチェックテストから各項目の合計点を算出し(例:1.はい 0.いいえ の場合→1点)、その結果が以下の項目に1つでも当てはまれば、事業対象者に該当する基準を満たします。

  • No.1~20の合計が10点以上 …生活機能全般に支障が見られる
  • No.6~10の合計が3点以上 …運動機能低下の恐れがある
  • No.11~12の合計が2点以上 …低栄養の恐れがある
  • No.13~15の合計が2点以上 …口腔機能低下の恐れがある
  • No.16~17のうち、16が「いいえ」に該当 …閉じこもりの恐れがある
  • No.18~20の合計が1点以上 …認知機能低下の恐れがある
  • No.21~25の合計が、2点以上 …うつ病の恐れがある

 

自助・互助・共助・公助でさらにサポート

自助・互助・共助・公助でさらにサポート
厚生労働省では地域包括ケアシステムを支える考え方として、自助・互助・共助・公助の必要性を掲げています。地域包括ケアシステムの連携に加えて、お互いを助け合う姿勢を持つことで、地域全体のサポートをより強いものにするという考え方です。

  • 自助(自分の生活は自分で)

自助とは、自分で自分を助けることです。健康維持のために介護予防活動に取り組んだり、必要な場合は民間のサービスを利用したりするなど、自分の力で生活を維持することです。地域包括ケアシステムでは、この自助がまず基本となります。

  • 互助(身近な人との助け合い)

家族や友人、地域住民の方々、ボランティアなどが自発的に助け合う活動のことです。少子高齢化が進む中で、この互助の役割はますます重要になってきています。

  • 共助(制度化された相互扶助)

被保険者同士がお金を出し合って支え合う仕組みを指します。医療保険、介護保険、年金などがこれに該当します。

  • 公助(税金による公的な支援)

公助は、生活保護や高齢者福祉事業など、行政が税金を使って提供する公的な支援のことです。自助・互助・共助で対応できない状況に対して、最後のセーフティーネットとして機能します。

まとめ

地域包括ケアシステムが円滑に機能するためには、介護サービスを受ける方や介護・医療従事者だけでなく、「見守り」の役目を果たすその地域に住む方々全体の協力が欠かせません。行政、医療・介護の専門職、そして地域住民一人ひとりが連携し、それぞれの役割を果たすことが重要です。