寒い季節に欠かせないお正月の風物詩、お餅。しかし、その食べたい気持ちと共に喉に詰まる事故のリスクがついて回ります。家族や介護施設の職員の方々は安全面の配慮から、お餅を出すことに躊躇してしまう方も多いでしょう。そんな中、食べたいと思う気持ちに応えられる新しい選択肢が登場しました。安全かつおいしいアサヒグループ食品『バランス献立 スプーンで食べるおもち』をご紹介します。
お餅を通じた思いやりの提案
アサヒグループ食品が行った2023年2月の調査※1によれば、高齢者の食事において餅は「介護が必要になる前に食べていた食材の中で食べることが難しくなった(食べられなくなった)食材」の中でトップに挙げられました。さらに、調査に参加した介護者の84.1%が「被介護者に餅を食べさせてあげたい」という思いを抱いていることが明らかになりました。
しかし、かむ力や飲み込む力が弱くなる高齢者にとって、餅は喉に詰まったり、口内にはりついたりと不安が多い食材です。この課題に対処すべく、アサヒグループ食品は餅のおいしさを残しつつ、食べやすさを重視した設計の『バランス献立 スプーンで食べるおもち』を開発しました。
餅らしい風味を再現しつつも、べたつきを抑えているので、かむ力や飲み込む力が弱くなった方でも安全に食べられます。介護者の不安を解消し、“食べさせてあげたい”という介護者の思いに応え、被介護者の“食べる楽しさ”にも貢献することを目指しています。
※1 アサヒグループ食品調べ 2023年2月 「同居・近居の介護が必要な家族がいる方へのアンケート調査」 N=321
『バランス献立 スプーンで食べるおもち』の特徴
食べやすいやわらかさと滑らかな口当たり
お餅本来の特性である伸びや付着性を抑え、なめらかでべたつかない食感が特徴の『バランス献立 スプーンで食べるおもち』。高齢の方でも安心して食べることができます。
スプーンですくって食べる便利さ
餅が伸びないのでスプーンですくって食べることができます。飲み込む力が弱まった方や噛むのが難しい方でも手軽に食べられる設計です。
国産もち米粉を使用した風味豊かな味わい
商品には国産もち米粉を使用し、餅らしい風味が味わえます。伝統的なお餅の美味しさをそのままに、食べやすい形状になっています。
便通を整える食物繊維入り
不足しがちな食物繊維を補えるのもうれしいポイントです。食物繊維は、お通じを良くするなどの整腸効果だけでなく、血糖値の上昇抑制やコレステロール値の低下などさまざまな健康効果が期待されています。
レトルトパウチで調理不要
簡単なレトルトパウチタイプなので、調理の手間がかかりません。開封してそのまま食べられます。普段のお食事の主食としてや、汁ものに入れたり、おやつとしても最適です。アレンジ次第で様々な食べ方ができます。
『バランス献立 スプーンで食べるおもち』の開発者に迫る
『バランス献立 スプーンで食べるおもち』を発売しているアサヒグループ食品株式会社の商品開発三部の熊岡さん、長期戦略推進室の熱田さんに、かむ力や飲み込む力が弱い人でも食べやすい『バランス献立 スプーンで食べるおもち』の誕生秘話をお聞きしました。
--『バランス献立 スプーンで食べるおもち』の開発のきっかけについて教えていただけますか?
熊岡さん: 商品開発の前段階で、『バランス献立 スプーンで食べるおもち』を作ろうと考えたのは、お餅が好きで、普段からよく食べていることが一番のきっかけでした。毎年お正月にお餅が原因で事故が起きている現状に着目し、年齢を重ねても好きなものを食べてほしい、自分が高齢者になっても食べられるお餅を作りたいという思いから、かむ力や飲み込む力が弱くなった人でも食べやすい『バランス献立 スプーンで食べるおもち』を開発しました。普段の新商品開発とは異なり、自分が作りたいものを自ら提案して開発した商品です。
--実際に『バランス献立 スプーンで食べるおもち』を作り始めてみて、難しかったことはありましたか?
熊岡さん:まず、対象者をどうするかで迷いました。すでにある食べやすいお餅でも食べられない人が食べられて、介護している人も安心して食べてもらえるという点や介護施設でも全員が同じように食べていただけるようなものにしたいという点を考慮して、「ユニバーサルデザインフード」※2の「かまなくてよい」区分の設計を目指しました。
※2「ユニバーサルデザインフード」は、年齢や障がいのあるなしにかかわらず、普段の食事から介護食まで、できるだけ多くの人が利用できるように考えられた「みんなにやさしい」食品のこと。「かたさ」や「とろみ具合」の段階に応じた4つの「区分」に分かれている。
出典:わかるユニバーサルデザインフード 日本介護食品協議会(https://www.udf.jp/consumers/index.html)
難しかった点としては、物性のところが一番の山でした。「かまなくてよい」という区分になると、物性は本来の餅からかなり離れていってしまうので、いかに風味をプラスして餅らしさを出すかということを考えました。完全にペースト状ではなく、舌触りを残したゲル状の商品に仕上げることに苦労しましたね。
--『バランス献立 スプーンで食べるおもち』をいただきましたが、食べた瞬間の舌触りがお餅なのに、スッとなくなっていくという不思議な食感でした。お餅をのどに詰める人は、水分を一緒に取れずに喉にくっついてしまいますが、それもしっかり考慮されていて、スッと飲み込める。そのように作ることがとても大変だったのではないかと思いました。お餅好きの方が作ったということで納得しました。
熊岡さん:お餅は付着性※3が危険なのですが、その特性が「お餅らしさ」の1つなので、ただのゼリーだとお餅ではなくなってしまいます。専門家の評価をいただきながら、食べやすさを加味しつつ、餅らしい特性を再現することを目指して、何度も試作を重ねました。
※3付着性とは、食物が口腔内にベタつく度合いのこと
熱田さん: 見た目のお餅らしさを保つことも意識して、形を崩さないようにパッケージから出すときの注意やその動画も作りました。商品名に「スプーンで食べる」という言葉をつけることで、「お餅だけど、スプーンで食べられるほど柔らかい」というイメージを与えています。安全性のエビデンスとして専門家の評価を取り入れ、実際に高齢者に試食してもらって問題ないことを確認しました。
--実際に食べてもらった方々の感想はどうでしたか?
熊岡さん: 「お餅をあきらめていたけれど、これなら食べられる」というお声が一番嬉しかったです。お餅は焼いたり煮たり調理しないと食べられませんが、袋から出してすぐに食べられる利便性が好評でした。
熱田さん: お餅の風味が再現されているという感想が多かったです。お餅のように時間の経過によって硬くならないという安全性も評価していただきました。
おわりに
今回は、かむ力や飲み込む力が弱くなった人でも食べやすい『バランス献立 スプーンで食べる おもち』をご紹介しました。この商品を開発された熊岡さんご自身がお餅好きなことから「年齢を重ねても好きなものを食べて欲しい」と『バランス献立 スプーンで食べる おもち』の開発に着手されたこと、「お餅を食べることをあきらめていたけれど、これなら食べられる」というお声が一番の喜びだというお話がとても印象に残りました。
お餅は、年齢を重ねていくと「飲み込みも心配だから…」と敬遠されがちな食材です。しかし、お正月をはじめ、日本ではいろいろな節目の日にお餅を食べる風習が残っています。昔は楽しめていたお餅が今では食べられなくなって残念に思っている方も少なくないのではないでしょうか。『バランス献立 スプーンで食べるおもち』なら、お餅が好きだけれど、危ないからと食べるのをあきらめていた方に、もう一度「食べる楽しさ」を取り戻していただけるのではないかと感じました。
【商品概要】
■商品名 『バランス献立 スプーンで食べるおもち』『バランス献立 スプーンで食べるおもち よもぎ』
■希望小売価格 160円(税別) 172円(税込)
■内容量 50g
■発売日 2023年9月4日
■公式ホームページ
https://www.asahi-gf.co.jp/special/senior/foods/items/spoon-omochi/index.html
本記事に使用の写真の出典元:アサヒグループ食品株式会社
*リンク先は2023年12月時点の情報です。