人生の中で家を建てるのは一大イベントですね。普通に家を建てるにも何から始めればいいのか不安になります。それが介護を前提ともなれば一層不安になりますが、家の玄関やトイレに手摺りを取り付けるだけで全てを解決できないのが辛いところです。
それに介護が必要となった時、入院先の病院の都合で自宅に戻るまでの期間の猶予が短いために、十分に家の改造ができないまま介護生活をスタートせざるを得ないケースが多いのが現状です。
そこで今回は”生涯住める家”を造るためには何が必要なのかを具体例の体験を通して学ぶことができる積水ハウスさんの『納得工房』を前編・後編の2回に分けてご紹介いたします。
まずは積水ハウスさんで家を建てた場合の標準設備の一部をユニバーサルデザインの視点に立ってご紹介いたします。
【玄関ベンチ収納】
手摺りの断面は、円形ではなく楕円形状で、これは握った時の手のなじみ感を重視した結果です。ベンチに座れることで落ち着いて安全に身支度ができます。(椅子の中は靴の収納が可能)
【窓・サポートハンドル】
サポートハンドルで大きいサイズの窓でも軽い力で開閉が可能です。居室からバルコニーへもフルフラット設計なので車いすでもスムーズに移動ができます。
【把手レス収納扉】
「把手レス収納扉」は、空間重視だけではなく、扉の小口を彫りこんで作った把手は、扉の厚さを大きくすることで開閉のしやすさにも配慮しています。思わぬ転倒時にも出っ張りがない分怪我の防止に繋がります。
【安全配慮引き戸】
「安全配慮引き戸」は、引き手が指の挟み込みを配慮した形状なので、自然な操作をしながら安全に開閉ができます。扉の小口を切り欠いて取りつけられた引き手は、指をかけたまま扉を引きこんでも挟まないようにデザインされています。また、完全に壁に引き込めるので車いすの移動の際に十分な開口幅を確保できます。
【トイレ斜め棚手摺り(斜め15°)】
手摺りが斜めになっているのは、立ち座りの時に力が入りやすいように配慮がしているためです。
(斜め15°は、開発時に高齢者実験で角度を色々変えて使いやすさを細かくチェックされています) また棚に手をついたり、棚の先端のグリップを握ったり色々な方法で使用することができます。
このように標準でも十分に満足できそうな設備で、驚きの工夫と配慮に”生涯住宅”を追求する積水ハウスさんの奥深さとユーザー視点に立った優しさを感じました。
自分の住む家は公共施設にある多目的トイレのように日々様々な障がいを持った人が利用する”誰でも使える”を踏まえて作られた既製品の寄せ集めでは住み心地は良くありません。公共施設では最大公約数の使いやすさを元に設計されているので、逆に使いにくさを訴える人が多いです。
”誰でも使える”は”自分が使いやすい”とはイコールにはなりません。公共施設でのこのような”使いにくさ”は一時の我慢で済みますが、家ではそうはいきません。自分の体の不自由度合いに見合った整備をカスタマイズして造らなければ、介護者、要介護者ともお世話する度に体力を消耗し、今まで出来ていたことが出来なくなっていくことさえあります。
後編では「車いす」や「高齢者」「妊婦」の疑似体験を通して『納得工房』の”生涯住宅”の真髄に迫っていきたいと思います。
お問い合わせ先
<積水ハウス納得工房さんのURL>
(来場は事前予約制です)
https://www.sekisuihouse.com/nattoku/koubou