高齢になると、尿が出にくい、また逆に頻尿や失禁、夜間に多尿になる、便秘がちになるなどの傾向がみられるようになります。しかし、その原因は加齢だけではなく、病気や服用している薬の影響も考えられます。排尿編に引き続き、おむつフィッターで薬剤師の千島已幸さんが書かれた本に排便に影響を及ぼす薬について書かれていましたのでご紹介します。
薬剤師目線から見た「排泄に影響を及ぼす薬(排便編)」
薬剤師目線から見た「排泄に影響を及ぼす薬(排尿編)」
排便に影響を及ぼす薬にはどんなものがあるの?
排便に影響を及ぼす薬には、「便秘を引き起こすもの」と「下痢を引き起こすもの」の2種類があります。例えば、胃炎治療のために飲んでいるマーロックス顆粒には、下剤に含まれる酸化マグネシウム(略称:カマ)と同様に便を軟らかくする作用があります。そのため、便が軟らかくなりすぎて、下痢を引き起こしてしまう場合があるのです。では、具体的にどのような薬剤があるか、見てみましょう。
便秘を引き起こす薬剤
便秘を引き起こす薬剤には、以下のようなものがあります。
α-グルコシダーゼ阻害薬、アルミニウム含有製剤、医療用麻薬(アルカロイド、非アルカロイド)、陰イオン交換樹脂、炎症性腸疾患治療薬、過活動膀胱治療薬、過敏性腸症候群治療薬、カルシウム含有製剤、カルシウム拮抗薬、漢方薬、肝機能改善薬、気管支拡張薬、抗アレルギー薬、抗ウイルス薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病治療薬、抗ヒスタミン剤、抗菌薬、抗血小板薬、抗神病薬、抗不整脈薬、高リン血症治療薬・高Ca血症改善薬、骨粗鬆治療薬、三環系抗うつ薬、脂質異常症治療薬、鎮痛鎮痙剤、鉄剤、糖尿病治療薬、ビタミン剤、非麻薬性止痢薬、頻尿治療薬、麻薬性止痢薬、頻尿治療薬、麻薬性鎮咳薬
下痢を引き起こす薬剤
下痢を引き起こす薬剤には、以下のようなものがあります。
コリンエステラーゼ阻害薬、ビタミン剤・カルシウム剤、炎症性腸疾患治療薬、肝機能改善薬、去痰薬、経管栄養剤、口腔乾燥症治療薬、抗アレルギー薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病治療薬、抗ヒスタミン剤、抗リウマチ薬、抗癌剤、抗菌薬、抗血小板薬、抗精神病薬、降圧薬、骨粗鬆症治療薬、脂質異常症治療薬、消炎鎮痛薬、肺高血圧症治療薬、鎮咳薬、糖尿病治療薬、肺高血圧症治療薬、頻尿治療薬、免疫抑制剤
今飲んでいる薬に当てはまるものはありませんか?薬の作用だけが原因とは言い切れませんが、これらが排便に影響を及ぼしている可能性もあります。気になることがあれば、ぜひ医師や薬剤師に相談しましょう。
薬剤師目線から見た「排泄に影響を及ぼす薬(排便編)」
薬剤師目線から見た「排泄に影響を及ぼす薬(排尿編)」
まとめ
排便に影響を及ぼす薬には、便秘を引き起こすものと下痢を引き起こすものがあります。便秘を引き起こす薬剤には、炎症性腸疾患治療薬や気管支拡張薬、抗うつ薬などがあります。また、下痢を引き起こす薬剤には降圧薬や経管栄養剤などがあります。今飲んでいる薬に当てはまるものがあって、気になることがあれば、医師・薬剤師に相談しましょう。
出典:浜田きよ子監修・著「高齢者のQOLを高めて介護者の悩みも解決!おむつトラブル110番」メディカ出版