人間らしさと未来の介護を考える【ケアとソリューションフォーラム】

家族介護、病院における医療や看護、福祉施設における介護や介助、子育てなど、誰かを気づかい手を差し伸べる行為をする人(ケアする人)はたくさんいます。たとえば介護ひとつをとってみても、要介護(要支援)認定者数は、平成12 (2000) 年4月に218.1万人だったのが、平成29 (2017) 4月には633.1万人と約3倍となりケアを必要としている人は今後も増えていくことが考えられます。

ケアとテクノロジーの関係性を発見するフォーラム

医療・看護・福祉の垣根を超えて、幅広い分野の人たちが関わりあい、AIやロボットなどのテクノロジーと、これからのケアについて考え語りあうフォーラムが2018年1月13日(土)に渋谷で開催されます。

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今回のケアとソリューションフォーラムを主催する一般財団法人たんぽぽの家では、「ケアする人が心身ともに健康であってはじめて、他者を気づかう支えあいの社会が実現できる」との考えから、1999 年に「ケアする人のケア・サポートシステム研究委員会」を立ち上げ、調査研究に取り組んできました。

「気づかい」「思いやり」といった言葉には優しさや温かさを感じますが、それを継続していくことは難しいものです。ケアする人もひとりの人間として、疲労して風邪をひくこともあれば、気持ちに余裕がなくなるときもあります。そんなときに「(親だから/子どもだから/仕事だから)ケアするのが当たり前」と突き放すのではなく、お互いに楽しく支えあう工夫・仕組み・社会システムをつくり、誰もがセルフケアしやすいコミュニティと気づかいある文化をめざして活動しています。

2005年から、ケアする家族を支えるための啓発活動として、全国各地で市民を対象としたセミナーやフォーラムを一般財団法人住友生命福祉文化財団と共催でおこない、ケアする人のケア「レスパイトケア」の問題と向き合っています。

未来のケアを本気で考える

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今回のフォーラムは、「人らしさ」「人らしいケア」を考えなおすことで、これからの未来に必要なケアとテクノロジーの関係性を発見することを目的としています。

介護ロボットやAI(人工知能、Artificial Intelligence)などの新しいテクノロジーが話題にあがるとき、ほとんどが「対抗論」や「共生論」や「活用論」に閉じてしまいます。

①対抗論「人間 vs テクノロジー」

仕事を奪われるのでは?人間の存在意義はあるのか?ロボットは人間を超えるのではないか?など、「人間 vs テクノロジー」といった議論

②共生論「人間 + テクノロジー」

人間はロボットにも愛着を持つ(いなくなれば悲しむ)、ロボットにも感情ができるはずだ、一緒に暮らすことができるなど、ロボットと人間はどうやったら共生できるのか、など「人間 + テクノロジー」といった議論

③活用論「人間×テクノロジー」

超高齢社会で医療・福祉における介護ロボット事業は成長産業だ、スマートファクトリーは生産性を高める、自動洗濯機・お掃除ロボット・食器洗浄機など苦労を開放する、など「人間×テクノロジー」といった議論

それでは、今回のフォーラムは何を議論するのかと問われれば「研鑽論」かもしれません。テクノロジーを通じて「人らしさ」を考えることで未来のケア観を考え、あるいは、ケアを通じてこれからのテクノロジー観を考え、互いに高めあっていく関係性です。

このフォーラムの中では「テクノロジー」=「機械的な技術」ではなく、「人を支える技術」として捉えています。「ケアとテクノロジー」=「人間らしい思いやりの技術」の事例を知ることで、「人」「ケア」「テクノロジー」について、医療・介護・介助現場の人と、企業の開発者や研究者、学生など、福祉の領域を超えて学び・語りあいます。

一般財団法人たんぽぽの家

今回のケアとソリューションフォーラムの主催をしているたんぽぽの家では、「ケアする人が心身ともに健康であってはじめて、他者を気づかう支えあいの社会が実現できる」との考えから、1999 年に「ケアする人のケア・サポートシステム研究委員会」を立ち上げ、レスパイトケアなどの調査研究に取り組んできました。

まとめ

ケアする人が、安心できる環境とは、どんな世の中なのでしょうか。ケアする人のケア「レスパイトケア」や、人間らしさを大切にする「未来のケア」について、いろんな人と考える事で明るい未来を創造できるかもしれませんね。このような取組みにぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

ケアとソリューションフォーラム 
イベント概要
■日時:2018年1月13日(土)13:00〜17:45(13:00受付開始)
■料金:無料
■定員:200名
■会場:FORUM8(エイト) 6階 オリオンホール
■住所:渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル
■主催:一般財団法人住友生命福祉文化財団、一般財団法人たんぽぽの家
■後援:渋谷区
■協力:川崎市経済労働局、NPO法人エイブル・アート・ジャパン

  • 介護ロボット・機器の展示/デモ体験Ⅰ
  • 基調講演 ロボットから見えてくる「人らしさ」石黒浩(大阪大学 栄誉教授)、宮﨑詩子(一般社団法人ダイアローグ・メソッド・アソシエーション 代表理事、株式会社テレノイド計画 代表取締役)
  • 鼎談 「人らしいケア」とは何か?石黒浩 x 宮﨑詩子 x 聴き手:西川勝(臨床哲学者)
  • 事例報告 これからのケアを生みだす人間の技術人と人をつなぐロボット OriHime[オリヒメ] 吉藤健太朗(オリィ研究所 代表)未来を考えるケアのデザイン 小林さおり(株式会社さわやか倶楽部 ケアマネジャー)、石本将宏(株式会社さわやか倶楽部 取締役運営部長)助けあう・寄りそう仕組みづくり 江口八千代(NPO法人ファミリーハウス 理事長)
  • 介護ロボット・機器の展示/デモ体験Ⅱ

■お問い合わせ・お申し込み
一般財団法人たんぽぽの家 ケアする人のケアプロジェクト(担当:小林・後安)
〒630-8044 奈良県奈良市六条西3-25-4
TEL:0742-43-7055  FAX:0742-49-5501
E-mail:carecare@popo.or.jp
ウェブサイト:http://tanpoponoye.org/news/carecare/2017/11/00036958/

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