福祉用具とは、介助が必要な方の日常生活や機能訓練をサポートするための用具・機器の総称。さまざまな種類のものがあり、主にレンタルもしくは購入することで使用することができます。レンタルと購入、それぞれどんな違いがあるのか。また実際にどんな用具があるのか、そのポイントや選び方など詳しく見ていきましょう。特徴やメリットを理解することで、適切な場面で上手に使い分けることができるようになります。
福祉用具の目的
生活支援が必要な方の身体状態はさまざまです。支援や介護が必要な状態にあるかどうかを判定する「要介護・要支援認定」には、要支援で1~2、要介護では1~5段階の区別があり、少しのサポートがあるだけで生活が楽になる方もいれば、食事・睡眠・排泄などの広い面で支援を必要としている方もいます。
要支援と要介護の方が使用する福祉用具に違いはありません。しかし、その目的には大きな違いがあります。要介護の方の場合「日常生活の自立を助けるために使用する」のに対し、要支援の方の場合は「現在の状態をできるだけ維持し、要介護状態に進行しないように予防する」ことを目的としています。
〈要介護度の分類〉
| 要介護度 | 身体の状態 |
|---|---|
| 自立 | 支援が必要ない状態 |
| 要支援1 | 基本的な日常生活はほぼ行えるが、要介護状態にならないための支援が必要 |
| 要支援2 | 要支援1よりも基本的日常生活を行う能力が低下し、それに応じた支援が必要 |
| 要介護1 | 基本的日常生活や身の回りの世話に、一部介助が必要 |
| 要介護2 | 食事・排泄・入浴・洗顔・衣類の着脱などに、一部または多くの介助が必要 |
| 要介護3 | 食事・排泄・入浴・洗顔・衣類の着脱などに、多くの介助が必要 |
| 要介護4 | 食事・排泄・入浴・洗顔・衣類の着脱などに、全面的な介助が必要 |
| 要介護5 | 基本的日常生活や身の回りの世話全般に、全面的な介助が必要 |
★介護保険を使って福祉用具を利用する場合、要介護認定を受け、要支援1~2、要介護1〜5のいずれかに認定されていることが条件となります。
介護保険でレンタル・購入できる福祉用具
福祉用具は介護保険を利用して、レンタル(貸与)、もしくは購入することができますが、要介護1~5に属する方と要支援1・2に属する方では利用できる福祉用具が異なります。それぞれどのような福祉用具が対象となっているのか、詳しく見ていきましょう。
1)レンタル可能な福祉用具
レンタル可能な福祉用具には次のようなものがあります。利用者の要介護状態に応じて、福祉用具の品目が異なるのが特徴です。
▶要支援1 / 要支援2 / 要介護1の場合

▶要介護2 / 要介護3の場合
※⑤~⑫は一定の例外となる場合を除き、要支援1・2、要介護1の方は利用できません。
▶要介護4 / 要介護5の場合
※自動排泄処理装置のうち便を吸引する機能がある装置については、一定の例外となる場合を除き要支援1・2、要介護1~3 の方は利用できません。(尿を吸引する装置は利用できます)
2)購入可能な福祉用具
購入できる福祉用具には次のようなものがあります。

3)購入かレンタルかを選べる福祉用具
2024年4月より、歩行補助杖・歩行器・スロープ(固定用)の3品は、レンタルするか購入するかの選択が可能になりました。

福祉用具をレンタルする利点
このように、福祉用具には購入できるものとレンタルできるものがあります。中でもレンタル可能な福祉用具は「利用者の状況に合わせて、こまめに福祉用具を変更することができる」という点で大きなメリットがあります。
たとえば要介護認定で「要支援1」と判断された方でも、その後の経過で症状が進み、要支援2や要介護1へと変わっていく*ケースは少なくありません。すると福祉用具も以前まで使っていたものでは間に合わなくなり、別のものに変える必要が出てきます。
もし全ての福祉用具を購入していた場合、その買い替えにも大きな費用が発生することになりますが、レンタルであれば必要な福祉用具を必要な期間だけ使用することができ、負担を軽くすることができます。
*要介護認定の更新は、原則として12か月(新規・変更申請の場合は6か月)ごとに行われます。介護保険のサービスを継続して利用する場合、更新の手続きが必要です。
また「購入するよりも安価で利用できる」という点も、忘れてはいけないメリットの1つです。福祉用具は要支援・要介護状態の高齢者をサポートするための重要なアイテムですが、必要なものを全て揃えようとすると、それなりに大きな金額が必要になります。そんな時レンタル可能なものを選ぶことで、費用を抑えることができるのです。
例)介助用車椅子を利用する場合
| 購入 |
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| レンタル |
|
※利用者の所得によって2〜3割の負担が必要な場合もあります
購入・レンタルできる福祉用具の特徴
「購入のみ」が認められている福祉用具と「レンタル可能」な福祉用具との違いは、その用具が「利用者の肌に直接触れるような使用方法」であるかどうかがポイントとなっています。
たとえば、置き型タイプの手すり(設置工事不要なもの)や介助用車椅子などはレンタル対象であるのに対し、入浴補助用具(入浴用椅子・入浴用介助ベルトなど)や排泄用具(腰掛け便座・ポータブルトイレ)などは使いまわしがきかないためレンタルに不向きとされ、購入専用となっています。
また、移動用リフトの吊り具部分は購入のみ、本体はレンタル可能というように、消耗品である部分のみが購入対象となっているものもあります。
例)移動用リフトの場合

利用の際の手続きと流れ
レンタルと購入とでは手続きが少々異なります。レンタルの場合、自己負担となる1~3割のみの支払いを貸与事業者に行いますが、購入の場合は事業者に一度全額を支払ったのち、自治体(市区町村)から差額が払い戻される形で行われます。支払いに関する手続き詳細は各自治体によって異なりますので、事前に相談窓口などへ確認しておくと良いでしょう。
【レンタルの場合】
①ケアマネジャーにレンタルの相談・ケアプランの作成
②ケアプランに応じた福祉用具が、指定福祉用具貸与事業者から貸与される
③貸与に要する必要額(1割)を事業者に支払う
★残り9割相当額は、指定福祉用具貸与事業者が国民健康保険団体連合会へ請求し、支払われます。

【購入の場合】
①ケアマネジャーに購入の相談・ケアプランの提示*
②指定福祉用具貸与事業者から用具を購入
③購入代金(全額)を事業者に支払う
④自治体(市区町村)へ購入に要した相当額(9割)を請求する
⑤自治体(市区町村)から相当額が支払われる
*購入の場合ケアプランに位置付ける義務はありませんが、現状必要なものであるかどうかをケアマネジャーに確認してもらうことで、不必要な出費を防ぐことができるため安心です。

自己負担の目安
福祉用具を介護保険を利用してレンタルおよび購入した場合、金額の1~3割が自己負担額(実費)となります。負担割合は年金収入などの総額が280万未満の場合は1割負担、280万以上は2割負担、340万以上は3割負担というように、利用者の合計所得金額によって変わりますので、実際に介護保険を利用する際には、収入総額を事前に確認しておくと良いでしょう。(詳しくは〈第1回〉『介護保険って何?40代から知っておきたい基本と仕組み』をご参照ください)
| 負担割合 | |
|---|---|
| 年金収入等 280万円 未満 | 1割 |
| 年金収入等 280万円 以上 | 2割 |
| 年金収入等 340万円 以上 | 3割 |
また購入の場合の払い戻し限度額は、同一年度内において1割負担の場合は最大9万円、2割負担は最大8万円、3割負担は最大7万円までとなっています。超過分は自己負担となるので注意しましょう。

まとめ
介護保険を用いて福祉用具をレンタルもしくは購入するには、それぞれに応じた分類や手続き方法があります。いざという時でもスムーズに福祉用具を活用できるよう、きちんと特徴をおさえておくようにしましょう。上手に活用することで生活が楽になり、ご本人だけでなく、見守るご家族や周囲の方々にとっての安心にもつながります。













