介護のためのおむつのヒント

間違った大人用紙おむつの使い方③紙おむつを乾かして再利用

紙おむつを乾かしたら、また使えるの?

物干し竿に紙おむつが干されているのを見たことがあります。紙おむつは乾かして干したらまた使えるのでしょうか?紙おむつの構造から考えてみましょう。

紙おむつの構造

実際の構造は、メーカーの創意工夫により異なりますが、代表的なテープ型の紙おむつ構造と、各部位の役割、材質はおおよそ次の通りです。

断面図を見ると、さまざまな素材がサンドイッチのように重なっていることが分かります。おむつの基本機能は排泄物を吸収し、衣類や周囲を汚さないことなので、吸水材が要です。

吸水材は、吸収紙、綿状パルプ、高分子吸水材などの組み合わせで構成されています。尿を吸収しやすく、一度吸収したら確実に取り込んで後戻りをさせない工夫がされています。

左右についている立体ギャザーが、流れてきた尿をせき止める防波堤の役割をして横モレを防止します。

それぞれの素材の役割は?

次にそれぞれの素材を説明していきましょう。紙おむつの素材は一つひとつ特徴が違いますが、それを活かし、しっかり尿を吸収することで、おむつの外にもらしません。それらがサンドイッチのように重なることで相乗効果を発揮します。

◆不織布(撥水性・親水性)
紙おむつは、主に不織布という素材で作られています。「織らない布」と書いて不織布(ふしょくふ)と言います。“お茶パック”や“お手ふき”などでおなじみの素材です。立体ギャザーと表面材の両方に使われていて、見た目はよく似ていますが、性質には大きな違いがあります。

立体ギャザーに使う不織布は、撥水性の素材が使われています。撥水加工の不織布は水をはじいて水滴にして流し、下に通しにくいと言う特徴があります(例:レインコート)。水をはじくので、流れてきた尿をせき止める防波堤の役割をします。撥水性不織布と伸縮素材が合わさって、立体ギャザーになります。

表面材に使っている不織布は親水処理を行い、水を通す性質にしています。通常の紙や布と比較して尿などを速やかに吸収材に落とし、逆戻りさせにくい効果があります。柔らかい風合いで、ご使用者のお肌をいたわります。

◆綿状パルプ
尿を素早く吸収して、ひろげるスポンジのような仕事をしています。厚紙を綿状に粉砕したもので、実は紙おむつの本当の『紙』の部分なのです。尿をキャッチしたら、高分子吸水材(ポリマー)に尿を渡します。

◆高分子吸水材(ポリマー)
尿を吸収して、ゼリー状に固める大事な仕事をしています。自重の数十倍の尿をため込む保水力が自慢です。はじめはサラサラの粉ですが、水を含むとゼリー状になり尿を閉じ込めます。そのため逆戻りが少なく、布おむつに比べて表面はサラサラです。綿状パルプと協力して尿を吸収します。

◆吸収紙
綿状パルプと高分子吸水材が外にこぼれないように覆う役割をしています。

◆伸縮材
横モレ防止の立体ギャザーやパンツタイプのお腹まわりに使われている素材です。ストッキングと同じ伸縮糸で、『デニール』という単位で太さを表します。天然ゴムと違って、お肌に優しいフィット感を保ちます。

◆防水材
紙おむつの外側を覆う防水シートです。おむつ内の湿度を下げ、おむつ使用による肌あれのリスクを軽減するために、水分を通さない透湿性のものが採用されることもあります。

おむつは乾かして使える?

おむつの構造から見てきましたが、それぞれの素材の特徴を考えると、尿や水分を吸収したものは乾かしても元には戻りませんので、紙おむつを乾かして再利用するのはやめましょう。見た目に汚れはなくても一日使用したものは、紙おむつは肌に直接触れる下着と同じですので、衛生面からも1日に1度は交換することをおすすめします。

出典:一般社団法人 日本衛生材料工業連合会ホームページ

正しいおむつ交換の方法はこちらをチェック!
大人用紙おむつの種類と使い方<テープ止めタイプ編>
大人用紙おむつの種類と使い方<紙パンツ編>
大人用紙おむつの種類と使い方<パッドタイプ 男女兼用編>