株式会社リブドゥコーポレーションが運営している介護情報メディア『Live+Do(ライブプラスドゥ)』は、おかげさまで今年10周年を迎えます。その記念企画として、これまで運営に携わっていただいたメンバーを迎えて座談会を行いました。
当時をふり返り、それぞれ感じていたことを共有しあう本企画。スタートから現在までの軌跡をたどる【前編】、介護にまつわる「食」への思いを語る【後編】の全2回でお届けします。
介護の情報に、気軽に触れる場所をつくりたい――「Live+Do」が生まれるまで
岡崎:本日はみなさんお集まりいただきありがとうございます。さっそくですが、まずはLive+Doが生まれたきっかけについてお話ししたいと思います。
岡崎真規子(おかざき・まきこ)
株式会社リブドゥコーポレーション ライフケア事業推進本部所属。Live+Doの立ち上げから現在に至るまで、記事の執筆やコンテンツ企画などに携わる。
三宅:2014年にリブドゥのコーポレートサイトがリニューアルするタイミングで「ホームページ委員会」に参加したんです。ただ、サイトに掲載していた排せつに関する情報コンテンツも一緒に無くなってしまうと知って、それはもったいないなと。
そんな時、たまたま「オウンドメディア」という存在を知ったんです。介護の情報を自分たちで発信するサイトを作れば、これまでのコンテンツも生かすことができると考えたわけです。
三宅浩史(みやけ・ひろふみ)
合同会社サムライゴリラ 代表社員。2026年3月まで株式会社リブドゥコーポレーションに所属。Live+Doの立ち上げ・運営に加えて、コンテンツディレクターとして動画編集や楽曲制作も行っていた。
岡崎:当時は今ほどスマホも普及していなくて、介護に関する情報を得る方法には限りがあったんですよね。専門書を読むとか、行政でパンフレットをもらうとか…。だからこそ、サイトで簡単に調べられるメディアを作りたいなと。そこでご提案してくれたのが、ブラウニーさんでした。
林:大人用紙おむつを中心とした情報サイトを提案させていただきました。本音を言えば、当時のみなさまの反応は決して良いものとは言えず…。あの頃はオウンドメディア自体がまだ浸透していなかったので、無理もないと思います。その場にいた三宅さんが「その企画、うちの部署でやります」と言いきってくれて。めちゃくちゃかっこいいと感じました。
林哲也(はやし・てつや)
株式会社ブラウニーWebディレクター。Live+Doではサイトのデザイン・構築および運用業務を担当。
本條:僕も「ついていきます!」って感じでした(笑)。サイトへの思いをお聞かせいただき、それをもとにコンセプトやネーミングをご提案させてもらいました。最終的には社名に「+(プラス)」を加えた「Live+Do」に。前向きな表現でいいなあと。サイトの根本思想を一緒に探る作業は、コピーライターとしてやりがいのあるお仕事でした。
本條秀樹(ほんじょう・ひでき)
元株式会社ブラウニー所属。コピーライターおよびプランナーとして、サイト全体のコンセプト設計に携わる。
岡崎:具体的なコンテンツについてもいろいろ考えました。私たちは大人用紙おむつという製品を提供するメーカーなので、当初は紙おむつや排せつのことを中心に伝えようと考えていました。でも介護をされる方にお話を聞くと、暮らしの中には食事の摂り方とか、入浴の仕方とか、ほんとにいろいろなものが含まれているんですよね。そこでLive+Doでは、排せつを暮らし全体の中の一つと捉えたコンテンツを届けようと方向づけました。
「誰のための記事なのか?」
運営を通じて見えたオウンドメディアの意義
岡崎:2016年4月、無事にサイトが公開され、順調なスタートを切りました。その後私が産休でお休みをいただくタイミングで、山本さんにバトンタッチしました。
山本:はい。私が入った当時はSEOがとても重要視されていて、書いた記事を検索上位に上げるための施策をいろいろ探っていました。ただ、目に見える数字に気を取られすぎて、一度三宅さんに「誰のための記事なのかを見失っているんじゃないの」とお叱りを受けたんですよね。
—–SEO(えすいーおー)———————————–
「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略。Googleなどの検索エンジンでWebサイトや記事が検索結果の上位に表示されるように改善する施策のこと。
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山本功也(やまもと・かつや)
株式会社アンズコーポレーション リテール/EC 事業部 ディレクター。2023 年まで株式会社リブドゥコーポレーション所属。在籍時はLive+DoのUI・UX の構築等に加えて、自身の体験をもとにした記事の執筆を多く手掛けていた。
三宅:全然覚えてない。
一同:(笑)。
柴田:でも本質的な問いですよね。結果的に、うちがSEOとどう向き合うのかを考えるきっかけになった。
柴田佑二(しばた・ゆうじ)
株式会社リブドゥコーポレーションCXクリエイション部所属。Live+Doの運営やシステム面を担当。介護生活用品の通販サイト「Live+Do Style」の運営責任者。
三宅:SEOを気にしすぎると、文章が変になってしまうんです。味気ないというかね。だからもうSEOを気にしないでいこうと。
本條:割り切ったということですね。
山本:そうですね。それともう一つ勉強になったのが、時間帯によるアクセス数の変化です。解析を見ていると、深夜の2時ごろに「尿モレ」に関する記事へのアクセスが上がっていたことがあって。
本條:実際に尿モレが起きるタイミングで検索されていた。
山本:はい。つまりは尿モレが起きる原因とそれを解決する方法が知りたいんだと。それを機に「何に困っていて、どういう情報を求めているのか」を考えて、そのキーワードに沿った記事を考えようという流れになりましたね。
解決にたどり着くための「ヒント」を届けたい
公開3年目のサイトリニューアル
岡崎:その後SEOの仕様が大きく変わったのをきっかけに、サイトをリニューアルする流れになりました。各コンテンツのカテゴリ名も変更して、「紙おむつと排せつケア」は「おむつのヒント」に、「誰でも介護食」は「食べるのヒント」になりました。
山本:「ヒント」という言葉にはわりと深い意味があって。たとえば尿モレの原因って、人によってさまざまなんです。つまり、答えは一つじゃないということ。「当たり前に思っていることも、実はそうではない」ということを、Live+Doに訪れることで気づいてもらいたいなと。
岡崎:そうですね。明確な答えは提供できないけど、それにたどり着くヒントはたくさんお届けしたいという思いがありました。新たなカテゴリとして、「認知症」を追加したことも大きな変化でした。
山本:個人的には、母親が認知症になった頃とコンテンツスタートの時期が重なっていました。「認知症は怒ってはいけない、一番つらいのは本人だから」とか、実体験の中でいろんなヒントを知れましたし、それをLive+Doでお届けできました。
柴田:当時はそういう記事はなかったよね。
山本:そうなんです。介護の中で自分が知ったことは、広げるべき知識だなと感じ取りました。
岡崎:山本さんがお母さまを病院に連れていくまでのことを書かれた記事は、すごく心に響くものがあって。小手先のテクニックみたいなものを伝えるだけじゃないのが、Live+Doらしいなって。より多くの人に届けばいいなと思っています。
本條:同じように悩んでいた山本さんのリアルな体験談は、読者の方の共感につながったと思います。山本さんがいち読み手として制作に関わられたことで、必要な情報を提供できるメディアに育っていったのでしょうね。
思わぬサプライズ、チームみんなで
「お客様に届いている」と実感できた日
岡崎:思い出深いのが、NHKさんとの取材のやりとりです。当時、自宅でテレビを観ていると、NHKの『クローズアップ現代』で「息子介護」という特集が取り上げられていました。番組の男性ディレクターさんが、高齢のお母さまを介護されているお話です。
その中で、お母さまが息子さんに対する申し訳なさを吐露されているシーンがあって。育児で悩んでいた自分の気持ちがリンクしたのか、涙がわーっと出たんです。こういう方々にこそ、Live+Doのことを知ってほしいと思い、視聴者投稿欄でサイトを紹介したところ、急遽取材のご依頼が来て。
三宅:実はその裏には、我々の知らなかった“もう一つのストーリー”があったんですよね。放送後、同じように介護で悩んでいる視聴者さんから、番組宛に連絡があったそうなんです。「とてもつらい状況で、生きることが苦しい」と。そこでディレクターさんがその方にLive+Doをご紹介してくださって。すると「面白いサイトだ、頑張れそうだ」と喜んでいただけたそうなんです。
そして取材当日。ディレクターさんが何も知らない岡崎さんにそのお話を伝えてくれた。いわば感動のサプライズですよね。話を耳にした岡崎さんの反応を、カメラが今まさに捉えようとしているわけです。
山本:三宅さんと私も、涙をこぼしながら見守っていたのを覚えています。
三宅:ところがですよ。当の岡崎さんは顔色ひとつ変えずに「ソウデスカ、ハゲミニナリマス」と。
一同:(笑)。
柴田:その流れは泣くところでしょう!
岡崎:かなり緊張していたんです…。「もう一度やり直せたら」と今でも思います…。
柴田:でも岡崎さんの行動がきっかけで、僕たちの自信につながった。当時はまだ、社内でもオウンドメディアの意義が浸透していなくて、他の部署からの理解が得られていないと感じていた頃でしたから。そういう状況の中、「役に立った」という声をもらえたことが本当に嬉しくて。社内の評価よりも、読者の人たちがどう感じてくれるかを大事にしようと感じた瞬間でしたね。
「“寄り添い”を感じるサイト」——続けてきたことが実を結んだ瞬間
岡崎: 2019年のリニューアルを経て、2022年度に「コンテンツマーケティング・グランプリ2022」の「専門コンテンツ部門」でなんとグランプリを受賞しました。いただいた評価は「解決の一歩先、読み手に希望を与えている」「読み手を応援する気持ちが滲み出ている」「読者が介護に対して希望を持つことができ、読者に対しての真の『寄り添い』を感じる」など嬉しい内容ばかりでした。
本條: Live+Doや掲載される記事からは人間味が感じられるし、それこそが価値だと思いますから。
山本:会社の理念「生きる力を応援する」という軸をブレさせずに、チームみんなで体現できたことも評価していただけたのだと思います。
柴田:この賞への応募を勧めてくれたのは三宅さんでしたね。コロナ感染拡大の時期とも重なって、自分たちの運用に自信が持てずにいる時期だったので。「外の人たちに話を聞いてみたら」と提案してくれたのかなと。
三宅:いただいた評価で「ほらね、大丈夫でしょ?」っていうことを知ってほしかった。オウンドメディアを長く続けるのって、結構難しい。絶えず記事やコンテンツを発信していく忍耐力がいるので。Live+Doはその時点で7、8年続けたという実績がある。そのことにもっと自信を持っていいんじゃないかなと。まさかグランプリを取るとは思ってなかったですけど。
岡崎:そうですね。このサイトを見た外部の方に、自分たちのやりたいことや思いが伝わっていたことが嬉しくて。運営を続ける励みにもなりました。
Live+Doの持ち味を生かしながら
寄り添う存在であり続けたい
岡崎:10 年という節目を迎えた今年、サイトリニューアルに向けてブラウニーさんと制作を進めています。コンセプトは「育てていくサイト」。一度作って終わりではなくて、必要な情報が探しやすいように形を変えられる柔軟性の高いサイトにしたいなと。読者の声を聴きながら、これからもみんなで育てていきたいです。
柴田:いろんな体験をお持ちの方が、いろんな記事を執筆してくださったおかげで、今のLive+Doがあると思います。今後はその多様性に合わせて、記事という形にこだわらず、いろんな方法で発信できたらなと。
岡崎:「食べるのヒント」のレシピはSNSでもご紹介していますし、動画や音声配信コンテンツなど、さまざまな方法での発信も進めています。
林:いいですね。さらに欲を言えば、読者のみなさんと一緒に作るコンテンツがあれば面白いなと思いますね。気持ちや境遇を伝えたい、分かち合いたいという人はたくさんいらっしゃると思うので。
柴田:そうですね。いろんなコンテンツが増えているので、読者のみなさんが関わりやすい方法を探っていきたいなと。新しいことに挑戦してきた部署なので、今後もみなさまの力をお借りしながら、いろんなものに挑戦していきたいですね。
“中の人”が語り合う、Live+Do座談会企画。今回は前編をお届けしました。【後編】では、大人用紙おむつメーカーがなぜ「食」についての情報を伝えるのかをみんなで語りました。ぜひお楽しみに!













