私は、おむつフィッターとして「適切なおむつ選びと使い方」の啓蒙活動をしています。おむつフィッターの熊井利將さんと一緒に、和歌山市内の特別支援学校で「適切なおむつ選びと使い方」について勉強会を実施したことがありました。特別支援学校での開催ということもあって、学校の先生や保護者の方、訪問看護師やケアマネージャーなど様々な立場の方が集まりました。
特別支援学校で学ぶ児童や生徒にとって、おむつは生活を豊かにする上でとても大切なものですが、障がいを抱えた子どもの成長に合わせたおむつ選びには、多くの悩み事があります。その時に寄せられた悩み事の一つをご紹介します。
ベビー用では小さいけれど、大人用では大きすぎる
勉強会でお悩みとして多く寄せられたのは、紙おむつの「サイズ」の問題です。ベビー用では小さいけれど、大人用では大きすぎて隙間ができて漏れてしまうというお声です。そのお悩みを解決する方法を2つご紹介しました。
解決策1 ベビー用で一番大きいサイズと大人用のSサイズとの中間サイズ「SSサイズ」を試してみる。
大人用のパンツ型紙おむつとテープ止め紙おむつには、ベビー用で一番大きいサイズと大人用のSサイズとの中間サイズの「SSサイズ」があります。
「ベビー用の紙おむつが窮屈になった…」と感じたら、ぜひ「SSサイズ」を無料サンプルでお試しください。
もし、「SSサイズ」でも大きすぎる場合は、防水フィルムがついていなくて、どこからでも吸収する「両面吸収シート」を併用し、隙間を作らないようにする方法もあります。
(より適切な商品をお送りするため、「お問い合わせ内容」にお子様の身長や体重、尿漏れの状況やご希望の商品名を差支えのない範囲でご記入ください)
解決策2 排尿量に合う尿とりパッドを選び、伸縮性のある布パンツを排泄アウターとして使う。
大人用のSSサイズでもサイズが合わずに尿漏れしてしまうことがあります。その場合、尿とりパッドで尿を吸収できれば、尿パッドを固定するものは紙おむつではなく、伸縮性のある布パンツでも構いません。
尿とりパッドには、さまざまな吸収量のものがありますので、排尿量に合わせて選ぶことができます。排泄アウターを布パンツにする利点は、材質やデザインも含め、多くの選択肢から自分の好きなものを選べることです。いろいろなキャラクターやスポーツブランド、色の中から、自分の好みのものや年齢に合ったデザインを選べたら、ご本人も親御さんもうれしいですよね。そして、洗濯して何度も使え経済的で、通気性にも優れています。
紙おむつから布パンツに変えると聞いて、「衣類や車いすのクッションにまで尿が漏れるのでは…」と抵抗を感じる方がいるかもしれませんが、尿漏れもなく快適に過ごしていらっしゃる例も数多くあります。ぴったりサイズの紙おむつがなくてお困りの方は、選択肢の一つとして、ぜひご検討ください。
意外と知らない、ベビー用紙おむつと大人用紙おむつの違い
ベビー用の紙おむつを使っている方が、大人用の紙おむつのサイズを選ぶとき、気をつけないといけないことがあります。それは、「サイズの目安」の違いです。ベビー用の紙おむつは体重を目安にしますが、パンツ型紙おむつはウエストサイズ、テープ止め紙おむつはヒップサイズを目安にします。そのため、大人用の紙おむつでぴったりのサイズを選ぶときは、メジャーでウエストやヒップのサイズを測るといいでしょう。
また、ベビー用の紙おむつと大人用の紙おむつでは、サイズ以外にも違いがあります。テープ止め紙おむつの場合、ベビー用ではテープが1山ですが、大人用ではテープが2山になります。慣れるまでは当てにくく感じるかもしれませんが、2山のテープを体のラインに合わせて、上向き・下向きにとめることで、お腹まわりと脚まわりが調節できて、隙間ができにくくなる利点があります。
ベビー用紙おむつと大人用紙おむつの違いを知り、適切に対応することは、ぴったりのサイズ選びや漏れない当て方につながります。
まとめ
特別支援学校で、お悩みとして多く寄せられた「サイズ」の問題の解決策についてご紹介しましたが、障がいは個人差が大きいので、今回、ご紹介した2つの解決方法では解決できない方もいらっしゃるかもしれません。市販の商品では合うものがなく、ご自身で手作りしている方もいらっしゃいます。
障がいを抱えた子どもの成長に合わせたおむつ選びは簡単なことではありません。しかし、今回ご紹介した方法を実際に試して、尿漏れがなくなり、生活の幅が広がった例もあります。ぴったりサイズの紙おむつがなくてお困りの方は、ぜひ一度お試しください。
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