介護のためのおむつのヒント

介護臭ってどこからくるの?

どれだけお部屋を清潔にしていても介護空間の特有のニオイってありませんか? ポータブルトイレや寝具など、原因ははっきりしないけど、なんだか気になる方も多いかと思います。介護の困りごととしても、ニオイの問題は深刻だといえますね。

では、具体的に何が介護臭となり、そして、どんなニオイ対策をすればいいのでしょうか。

【目次】

1.介護のニオイの正体は?

2.これで快適!介護のニオイ対策
介護のニオイ対策のキホン
排泄物のニオイ(尿臭、便臭)の原因と対策
からだのニオイ(加齢臭、汗臭)の原因と対策
お口のニオイ(口臭)の原因と対策
服・寝具のニオイの原因と対策
洗濯物のニオイの原因と対策

3.我慢しないで!ニオイ対策は家族のストレスケア

1. 介護のニオイの正体は?

そもそもどうして、介護空間は独特のニオイになってしまうのでしょうか?その正体を解説します。

介護空間のニオイは、一般的に主に尿や便のニオイが原因とされていました。ですが、介護空間のニオイの調査の結果、尿臭や便臭だけではなく、加齢臭や汗臭など、介護空間の様々なニオイが混ざり合った「複合臭」が特有のニオイとなって空間に漂っていることがわかってきました。

他サイトより

ですから、介護空間のニオイ対策は、尿臭や便臭だけのケアだけではなく、様々な介護のニオイに対しての対策が大切になります。

2. これで快適!介護のニオイ対策

では、具体的にニオイ対策のキホンや、様々なニオイの種類に対する原因と対策についてご紹介していきます。

介護のニオイ対策のキホン

  • 換気

窓を開けてお部屋の換気を定期的に行ってください。風通しをよくすることで嫌な臭いも逃しやすくなります。扇風機や送風機を使用して風を送ることで、一か所に臭いがとどまることがなくなります。もちろん、適切な換気をして空気を入れ替えることは、ハウスダストやウイルスを取り除くためにも大切なことです。

  • 空気清浄機、脱臭機を利用する

ニオイ除去の機能が付いた空気清浄機を利用するほか、ニオイに特化した機能を持った脱臭機を活用することもおすすめです。

  • 消臭剤や洗剤など消臭グッズを利用する

最近では、介護用に開発された置き型の消臭剤や消臭スプレーなども販売されています。消臭機能だけでなく、気持ちのいい香りのフレグランス作用があるものもおすすめですが、場合によっては、「介護の複合臭」のように、様々なニオイと混じり合うことでニオイの原因になることもありますので注意してください。

また、尿臭・体臭のニオイに特化した洗濯洗剤なども販売されています。これらの消臭グッズを適切に利用して快適な介護ライフを過ごしましょう。

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排泄物のニオイ(尿臭、便臭)の原因と対策

(原因)
尿臭や便臭のトラブルは、おむつを使っている方の多くが悩みを抱えていらっしゃる問題です。原因となるおむつの使用法、捨て方などに注意が必要です。
また、ポータブルトイレが原因のニオイ問題もよくみられます。

(対策)
おむつを使用している場合、捨て方を工夫することが大事です。
・排便をトイレに流したあとにゴミ箱に捨てる
・おむつ用の臭わない袋を利用して捨てる
・消臭効果のある新聞紙などに包んでからビニール袋に入れる
・消臭機能付きのおむつ用ゴミ箱を使用する
などの対策が効果的です。

また、腎機能が弱っているときや膀胱炎の時は、尿自体のニオイがきつくなりますので、消臭スプレーやおむつの定期的な交換をおすすめします。

ポータブルトイレを使用している方は、
・ポータブルトイレ周囲に消臭機能付きの防水マットを設置する
・ポータブルの中身をなるべく頻回に捨てる
・消臭液を効果的に利用する
・夜間だけ使用している場合などは、昼間の使用していない時間帯に天日で乾かす
など工夫をしてみるとよいでしょう。

【食生活の工夫もおすすめです】
尿のニオイは、体内の水分量が少ない場合に強くなりやすいため、こまめに水分をとったり、水分量の多い食事やおやつを心がけてください。

便のニオイは、便秘になると強くなります。高齢者は便秘になりやすいため、便秘の予防・ケアをすることも対策のひとつです。また、便臭に影響しやすい食品(ニンニク、ネギ、ニラなど)を控えめにすることもおすすめです。

からだのニオイ(加齢臭、汗臭)原因と対策

(原因)
加齢臭の主な原因は、年齢を重ねることで皮脂腺から出る「過酸化脂質」や「脂肪酸」の量が増えることだといわれています。汗臭の主な原因は、汗に含まれる成分によってニオイのもとになる細菌が増えるためです。
そのほか、糖尿病などの病気によって体臭が変化する場合もあります。

(対策)
入浴できない場合は清拭や陰部洗浄を行ったり、衣類をこまめに替えるようにしてみましょう。気分もすっきりしますし、皮膚を清潔に保持することは褥瘡(じょくそう)予防の観点でも重要です。

お口のニオイ(口臭)の原因と対策

(原因)
口臭の主な原因は、口の中の細菌です。高齢者は、薬の副作用でだ液の分泌量が少なくなるなどの理由で、口の中が乾きやすく、細菌が増えやすくなっています。

(対策)
だ液の分泌をよくするために、「唾液腺マッサージ」などを行うことがおすすめです。また、歯周病などのお口のトラブルを防ぐための口腔ケアや、義歯(入れ歯)のお手入れも大切です。お口の中を清潔に保つことを心がけましょう。

服・寝具のニオイの原因と対策

(原因)
介護のニオイ問題に限らずですが、汚れた衣類や寝具などをため込むと、ニオイのもとになる雑菌が繁殖していまい、ニオイが染みついてしまいます。
せっかく洗髪をしてニオイケアをしたのに、枕が臭うままでは介護空間のニオイ対策にはなりません。

(対策)
とにかく衣類や寝具をこまめに交換することをおすすめします。その際に、洗濯物をため込まずにこまめに洗濯することが大切です。

洗濯物のニオイの原因と対策

(原因)
洗濯槽は洗っていますか?洗浄力の高い洗剤で洗濯をしても、洗濯槽に水垢や汚物がくっついていてはニオイや汚れはとれません。

(対策)
まず、洗濯機用洗剤を使用し、洗濯槽の「よごれ」をとりましょう!洗濯槽がきれいになったら、衣服の洗濯です。

衣服についた尿や便は・・・
・水溶性のもの(60度以上のお湯)
・中性のもの(中性洗剤)
・アルカリ性のもの(固形石鹸や歯磨き粉、ハンドソープなど)
の順でとっていきます。

それでもニオイがとれなければ、粉末タイプの漂白剤を使用してみましょう。その他、お風呂の残り湯はできるだけ使わない、脱水のあとにすぐに干す、などニオイが残りづらい方法なども試してください。

3. 我慢しないで!ニオイ対策は家族のストレスケア

介護のニオイ問題は、介護をする方にとっても、介護される方にとっても口に出しにくいデリケートな問題ですよね。ですが、ニオイは精神的な負担が大きく、疲れやストレスにつながったり、人によっては吐き気をもよおしてしまうほどもある深刻な問題です。

誰にも相談できずに悩んでいる方も多いと思うのですが、自分だけで抱え込まず、身近な方やケアマネージャーなどに相談してみてくださいね。

【記事監修:看護師・保健師 梶﨑 有那