高齢者の自立支援のために、大人用紙おむつの前に検討したいポータブルトイレ。前回に引き続き、老舗メーカー「株式会社リッチェル」の小川さんにお話をお伺いし、今回は、もっと快適にポータブルトイレを活用するための便利なグッズやお役立ちアイテムについてお聞きしました。
現場のアイデアやヒントを活かしたグッズで、ポータブルトイレはもっと快適になる!
「ポータブルトイレを特別なものではなく、もっと身近な用品と感じてほしい」。それが、ポータブルトイレの開発において、リッチェルが大事にしている想いだそうです。
「使用者だけではなく介護する側にとっても、快適に活用できるかどうかは重要な問題。ですので、ポータブルトイレがもっと便利に、もっと気持ちよく使えるようになるグッズにも注目してほしいと思っています。ポータブルトイレを身近なものとして愛用するために、現場のアイデアやヒントを活かしたお役立ちアイテムを使ってみていただきたいですね」。
バケツ洗いが不要!介助者の負担を大幅に軽減
――ポータブルトイレの大変な点といえば、バケツ洗いだと思うのですが。
「使用者が自分でポータブルトイレのバケツ洗浄を行う場合もあるのですが、重いバケツを持って洗い場まで移動しなくてはいけないので、やっぱりけっこう大変なんです。それを解消するために開発したのが、ポータブルトイレにセットして使う袋“ラクリーンバッグN”です。袋の中に、尿4回分(当社選定方法)を吸収するパッドが入っていて(大便の場合は、1回ごとに取り換える)、尿が素早くジェル化することで、不快なニオイを軽減してくれます。当社製品には、バケツなしで直接この袋をセットできるポータブルトイレもありますが、一般的には、ポータブルトイレのバケツにセットして使用します。ヒモつきで手軽に処理することができますので、役立ててほしいですね。ちなみに、備えておくと、災害時に水が使えなくなった場合などは、自宅のトイレにセットして使用することもできます」。
おしり洗浄が手軽に衛生的にできる簡易シャワー
――おしり洗浄に関して便利なグッズはありますか。
「近年、おむつ交換時などにも使うおしり洗浄液の使用が、介護の現場では一般的になっています。洗浄しながらお肌の保湿や保護もできる洗浄液なのですが、これを入れて使用するのにぴったりなものが“おしりシャワー”です(もちろん、水を入れて使用することもできます)。弊社では、ノズルの位置を調節できてさらに使いやすい便利なジャバラ付きタイプも販売しております。洗浄機能付きのポータブルトイレは高価ですので、このグッズを使用すると、介助する側にとっても、おしりのケアが非常に行いやすくなります」。
実は、ポータブルトイレはトイレットペーパーを使うのが難しい
――使用者がもっと快適に使うためのアイデアはありますか。
「ポータブルトイレは、トイレットホルダーが左右どちらかの下の方に付いているタイプがほとんどです。実は、そのために、使用者によってはトイレットペーパーを自分で使うことが難しくなってしまっていることがあるんです。体をひねってペーパーを引っ張ったりちぎったりしなくてはいけないからですね。その場合は、ベッドの柵に取り付けたり、ポータブルトイレのひじ掛けに取り付けたりできるアイテム“どこでも片手でペーパーホルダー”が便利です。便座の正面など使用者の使いやすい位置にホルダーを配置することで、自分でトイレットペーパーを使用できるようになります。このように、少しのアイデアや工夫で、使用者がひとりでポータブルトイレを使用できるようになるという事例がたくさんあるんですよ。介護される方は、使用される方が何に困っているかという視点を持って接すると色々な工夫ができると思います」。
少しの工夫で“介護される側”も“介護する側”も快適になる!
便利なグッズを使用したり、問題を解消する工夫をしたりすることで、ポータブルトイレはもっと快適な排泄用品として使用できるようになります。
快適な「排泄」は、快適な「暮らし」に大きく関わっています。もちろん大人用紙おむつは、介助する側にとっても、とても便利なものですが、高齢者の自立した生活をサポートできるポータブルトイレという選択肢も検討して、“介護される側”と“介護する側”それぞれが、一番心地よく暮らしていける方法を考えていくことが大切ですね。
記事協力:株式会社リッチェル
販売先:リッチェル公式ウェブショップ