介護のためのおむつのヒント

ポータブルトイレの使い方と選び方① 「トイレまで歩けない=大人用紙おむつ」に待った! ポータブルトイレで高齢者の自立支援をサポート

「排泄」はとてもプライベートな行為で、介護のデリケートな問題のひとつです。その排泄を、他人にゆだねなければならない大人用紙おむつの使用は、高齢者にとって自尊心を傷つけられることになることもあります。

今回は、トイレまで歩けない高齢者=大人用紙おむつが必要、と考える前に検討すべき選択肢「ポータブルトイレ」について、その老舗メーカーにメリットや選び方、使い方などをお聞きしてきました。

「トイレまで歩けない=大人用紙おむつ」ではない! 高齢者の自立支援のためにポータブルトイレの活用を

お話をお伺いしたのは、グローバルにライフケア事業を展開し、ポータブルトイレをはじめ、様々な排泄用品を製造販売している株式会社リッチェルの小川真市さん。「近年、介護の現場で問題になっている“自立支援”。この問題を、排泄ケアの面から考えたとき、大人用紙おむつの使用の前に検討すべきものが“ポータブルトイレ”です。

簡単に説明しますと、トイレまで歩けないけれど、ベッドのそばなど近くにトイレがあれば、自分で座って用を足すことができるというような場合に便利なもの。高齢者に少しでも自立した生活を過ごしていただくために欠かせない介護用品のひとつです。

「本人がひとりでできること」を考えれば導入すべきか見えてくる

――ポータブルトイレはどういった方に適しているのでしょうか。

「ポータブルトイレを使っていただくためには、まずは使用する方がどの程度の身体能力を持っておられるかを考える必要があります。立ち上がったり座位をとったりできるか、ベッドから乗り移れるか、下着を着脱できるか、座ったまま姿勢を保持できるかなど、本人がひとりでできることによって、ポータブルトイレの活用の仕方が変わってきます。

また、ひとりではできなくても、介助があればできることもありますので、それぞれのスタイルに合った使い方をしてほしいですね。もちろん、ベッドから乗り移るためのスペースを確保して部屋に配置できるかどうかなど、設置場所もあらかじめ検討しておく必要があります」。

本人の自立度でポータブルトイレのレイアウトを決める

――どのように配置すればいいでしょうか。

「設置する場所に充分なスペースがある場合、どれだけ自立してポータブルトイレを使用でき、どれだけ介助が必要なのかを考えて配置を決めるといいと思います。

たとえば、自立度が高い方の場合は、ベッドやポータブルトイレを壁に寄せてレイアウトすることで、空間が広くとれますので、動きやすい部屋になるはずです。介護中心の場合は、ベッドの両側から介護ができるようにスペース空けてポータブルトイレを配置すると便利です。そのほか、たとえばあまりベッドのそばに置きたくなく、本人が少しは歩ける場合などは、部屋の隅に置いてポータブルトイレまでの壁に手すりをつけるなど、それぞれの利用しやすさを考えて配置してください」。

大人用紙おむつの尿モレ問題が解決することも!使い方の工夫でカラダもココロも快適に暮らせます

――どのような使い方ができますか。

「明るい昼間は移動しやすいのでポータブルトイレを利用して、寝ぼけたりしてしまう夜中は大人用紙おむつを使うなど、ポータブルトイレと大人用紙おむつを併用する方法もあります。大人用紙おむつの尿モレに悩んでいたけれど、ポータブルトイレを設置したことで、間に合う場合はそちらを利用してもらい、大人用紙おむつへの尿量が減少したために尿モレ問題が解決したということもあります。

また、使用する方の気持ちを考えて、カーテンやパーテーションで落ち着ける空間をつくったり、流水音が流れる音消し器を利用して音漏れを予防したりと、使用する方の気持ちに配慮した工夫も快適に使っていただくために大切なことですね。

“介護される側”と“介護する側”両方が、精神的にも肉体的にも負担を軽減できるのがポータブルトイレの最大のメリットです」。

ポータブルトイレは各メーカーごとに様々な種類が販売されています。次回は、代表的な機能や選び方のお話を中心にお伺いします。

記事協力:株式会社リッチェル
販売先:リッチェル公式ウェブショップ