介護のためのおむつのヒント

スキントラブルを起こさないためのポイント③除圧のポイント

おむつ交換って、難しい?何に気をつけたらいいの?どうしたらもれないの?日々疑問が生まれ、なかなか解決しない困りごともありますよね。今回は、お困りごと解決のヒントとして、おむつ使用時のポイントのひとつ「除圧(圧ぬき)」についてお伝えします。

じっと動かずに寝た場合、何が起きる?

皆さんは身動きせずに寝ていられますか?人は動くことで健康を維持できます。目で見えたり感じたりする動きだけでなく、普段意識しない呼吸や心臓の動き・血液の流れ、消化等々、生きていく上で必要な機能は動くことで確保できているのです。

つまり、私たちは眠っている時間や長時間座っている時、無意識に寝返りをうったり足を動かしたりして、体重による圧力(圧)が一定の場所に長時間加わり続け、皮膚に血液が流れなくなることも防いでいます。寝たきり状態などで、ご自身で体勢を変えられなかったり、足を動かすのが難しい場合、同じ部位に圧が長時間かかってしまうことで、血流が遮断され褥瘡(床ずれ)が生じやすくなります。

おむつの中の環境と圧の関係は?

特に尿失禁・便失禁があり、おむつをつけている人は、排泄後のおむつの中が蒸れて皮膚が軟らかくなり、ちょっとした圧力やズレ・摩擦によって、褥瘡が発生しやすくなっています。体を起こすために介護用ベッドの背上げをすると、かかとに圧が集中していきます。そのため、褥瘡(床ずれ)になりやすくなると言われています。

褥瘡(床ずれ)予防には、仙骨部のズレと摩擦を人為的に起こさず、血流が遮断されないよう同じ部位にかかった圧を取り除く「除圧(圧抜き)」が欠かせないのです。おむつの重ね使いやズレやヨレがある場合は非常に圧がかかります。重ね使いやズレ、ヨレがないようにおむつを当てましょう。

おむつ内には褥瘡(床ずれ)のできやすい箇所がたくさんあります

ベッドのギャッジアップをした時、姿勢の崩れが生じた時には除圧(圧ぬき)を行いましょう。方法として、要介護者の背中を支えて衣類のシワを直す方法とマットレスを押す方法があります。お尻部分の圧のかかっている場所に手のひらを通したり、お尻周りの布団を押すことで圧ぬきができます。かかとは一度持ち上げて下ろしましょう。

おむつの交換は、体を動かすことになり圧ぬきになります。また可能であれば、ご本人にも片足に力を入れて腰を浮かす動作やできる動きを少しでも行うと、その小さな動きが褥瘡(床ずれ)や拘縮(こうしゅく)の予防にもつながります。

便利なグッズを活用しよう

「除圧グローブ」等のグッズを活用すると、除圧を行いやすくなります。圧抜きグローブ使用時は介護される方の身体側に手のひらがくるように装着し、肩あたりに手を差し込み肩・背中・おしり・太もも・かかとへ手を滑らせていきます。ふくらはぎで終わらず、かかとまで除圧します。ベッドを元の位置に戻した場合や、普段寝ている状態でも特定の部位に圧が集中している場合があるので気をつけましょう。