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排泄の基礎知識(排便編④):排便障害のタイプと対策

排便トラブルの原因は、加齢をはじめ、生活習慣、病気やストレスなどさまざまです。なかには、日常の配慮で改善するものもあるので、正しいケアを心掛け、スッキリ快便を目指しましょう。主な排便トラブルの症状とその対処法についてご紹介します。

こんなにたくさんある!排便障害一覧

便秘と言っても、いろんなパターンの便秘があることをご存知ですか?それと同じく、下痢や失禁なども症状によってさまざまな種類に分類されます。それぞれの症状と解決策を知っておきましょう。

  • 便秘

便秘は、その症状により以下のように分類されます。その症状と解決策を見てみましょう。

①器質性便秘(きしつせいべんぴ)

[症状] 急な便秘・血便・便が細くなるなどの症状が出る。(大腸がんなど大腸の異常や腸の癒着・狭窄が原因)

[解決策] 原疾患の治療。

②弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)

[症状] 腸内容物の通過が遅く、太くて硬い便が出る。(高齢者、多産婦、少食の人に多い)

[解決策] 食事管理・薬物療法など。

③けいれん性便秘(けいれんせいべんぴ)

[症状] 便が少ない。ころころ硬い便が出る。残便感がある。便秘と下痢が交互に来る。(過敏性腸症候群)

[解決策] ストレスの解消・薬物療法など。

④直腸性便秘(ちょくちょうせいべんぴ)

[症状] 便が直腸に来ても便意が起こらず、直腸・肛門から出せない。太くて硬い便が出る。(ストレス、便の我慢しすぎなどによる)

[解決策] 排便を習慣づける。ストレスの解消・薬物療法など。

  • 下痢

下痢の原因もさまざまです。その症状により以下のように分類されます。その症状と解決策を見てみましょう。

①浸透圧性下痢(しんとうあつせいげり)

[症状] 腸粘膜の障害などで水分の吸収が阻害されるなど、腸内のトラブルによる。

[解決策] 食事の改善・薬物療法・原疾患の治療。

②分泌性下痢(ぶんぴつせいげり)

[症状] コレラ菌などの細菌感染、ウイルス、寄生虫などの原因で便の量や回数が多い。脱水症状に注意が必要。

[解決策] 原疾患の治療。

③神経性下痢(しんけいせいげり)

[症状] 一日に何度も便意をもよおして、軟便や下痢を繰り返す。(過敏性腸症候群)

[解決策] 食事の改善・原疾患の治療。

④腸の運動異常(ちょうのうんどういじょう)

[症状] 大腸の通過時間が早いため、水分が十分吸収されない。(内臓疾患・薬や食品の影響・ストレスが原因)

[解決策] 食事の改善・原疾患の治療。

  • 便失禁

①腹圧性便失禁(ふくあつせいべんしっきん)

[症状] お腹に力が入った時にモレる。(括約筋のゆるみや極度の下痢が原因)

[解決策] 薬物療法や手術。排便習慣をつける。骨盤底筋群を鍛える。パッドの使用など。

②切迫性便失禁(せっぱくせいべんしっきん)

[症状] 下痢がひどくて、我慢できずにモレる。

[解決策] 下痢の解消。

③溢流性便失禁(いつりゅうせいべんしっきん)

[症状] 便が多いため、便があふれ出たり残便感があったりする。

[解決策] 定期的な排便習慣。浣腸や薬物療法。

④疑似性下痢(ぎじせいげり)

[症状] 直腸に硬い残便があり、その間を下痢が流れている状態である。下剤の乱用で起こる場合がある。

[解決策] 便を出しきる。(硬い残便を取り除くため、摘便をする。)便秘を防ぐ。

⑤機能性便失禁(環境障害)(きのうせいべんしっきん)

 [症状] トイレが遠くて間に合わない。認知症や運動機能の低下で一人で排便できない。

 [解決策] 原疾患の治療。生活環境(バリアフリー化・福祉用具の活用)の見直し。

  • 頻便

[症状] 排便の回数が多い。(下痢や便秘、便の量が多いのが原因)

[解決策] 下痢や便秘の改善。食事内容の見直し。薬物療法。

  • ガス

[症状] お腹がはる。ガスがたまる。何度もガスが出る。(腸内細菌の異常繁殖。便秘・下痢が原因。)

[解決策] 食事内容の見直し。腸内細菌を整える。薬物療法。

 

まとめ

排便障害には、便秘、下痢、便失禁、頻便などがあり、それぞれ症状によって細かく分類されます。便秘については、血便や細い便が出る「器質性便秘」、腸内の通過が遅く、太くて硬い固いが出る「弛緩性便秘」、少量のころころと硬い便が出て残便感がある「けいれん性便秘」、便意が起こらず直腸・肛門から出せない「直腸性便秘」などがあります。下痢については、水分吸収の阻害による「浸透圧性下痢」、細菌感染による「分泌性下痢」、軟便や下痢を繰り返す「神経性下痢」、大腸の通過時間が早い「腸の運動異常」などがあります。便失禁には、お腹に力が入った時にモレる「腹圧性便失禁」、下痢による失禁「切迫性便失禁」、便があふれ出る「溢流性便失禁」、下剤の乱用による「疑似性下痢」、トイレが間に合わない「機能性便失禁」などがあります。それぞれの症状と改善策を知っておきましょう。