介護のためのおむつのヒント

おむつの種類①排泄インナーの種類と特徴

おむつを選ぶ際には、紙おむつの内側で尿を吸収する排泄インナー(尿パッド)と、外側で尿パッドを固定するために使う排泄アウターに分けて考えます。排泄アウターは、本人の身体機能とサイズに合わせたものを選び、排泄インナーは、排泄アウターと失禁量に合わせたものを選ぶとぴったりのものが選べます。

尿とりパッド(排泄インナーと呼ばれるもの)にはどんな種類があるの?

排泄インナー(尿パッド)は尿を吸収するもので、アウターの中に1枚だけ入れて使用します。排泄アウターがぬれていなければ、排泄インナーだけを交換すればよいので、交換が簡単で経済的です。

尿とりパッドには、紙製と布製があります。紙製の尿パッドは大きさや吸収量がさまざまで、ご本人にあった商品を選ぶことができます。また、軽い尿モレには軽失禁パッドがありますが、普段履いている下着や布パンツと組み合わせて使用する方も多いです。

布製でも防水機能や立体ギャザーがついているものもあるので、尿とりパッドを利用する本人の排泄状態、皮膚の状態、昼間と夜間の生活に合わせて使い分けたり、お世話する人の介護力や経済力など考慮しながら、さまざまな種類の中からご本人に合ったものを選んでください。

軽失禁パッド

くしゃみや咳をした時、重いものを持った時など、お腹に力を入れると軽く尿が漏れる人。外出、仕事などで軽い尿漏れが気になる時などに使用します。若い方でも使用している人は増えており、最近では男性用の商品も多数販売されています。

【女性用軽失禁パッド】
【目安吸収量】少しの漏れから約1回分の尿量まで
パッドは薄型で、裏面の粘着テープを普段の下着の股の部分に密着・固定させて使用します。紙製品なのため再利用はできませんので、使い捨てとなります。男性用よりも吸収量が豊富なのが特徴です。

【男性用軽失禁パッド】
【目安吸収量】少しの漏れあら約1回程度の尿量まで
下着の内側前部分に、尿とりパッドを粘着テープで貼りつけ固定させるものやポケット状のものなどがあるので、ご本人の状態によって選ぶことができます。トランクスだとパッドがずれやすいので、可能ならボクサーパンツがおすすめです。もちろん紙製品なので、使い捨て商品となります。

尿とりパッド


尿とりパッドの形状には長方形、うちわ型、ひょうたん型などがあります。ひょうたん型をしているものは、前後が大きくなています。一般的には男性は前、女性は後ろに大きいほうを当てます。しかしパッドの漏れ方は個人によって異なるので使用後のパッドの濡れた位置や状態を見て判断します。

特殊な紙製尿とりパッド

【軟便用パッド】さまざまな工夫で軟便や水様便の尿とりパッドから漏れを防ぎます。ゆるい便の場合おむつのパッド表面に固形物が詰まり、十分に水分が吸収できなくなり便が広がりモレてしまうので、水分だけが通り抜けるシートで軟便をもれにくくします。軟便でお困りの方は、衣服や寝具へのモレ予防に非常におすすめです。

【両面吸収パッド】
【目安吸収量】尿1回~2回分程度
立体ギャザーや防水フィルムがなく、どこからでも尿をしっかり吸収することができて、防水フィルムのある尿とりパッドに漏れないように移行させる中継的な役割をします。
パッドは柔らかくソフトなので折ったり丸めたり、あるいはそのまま二つ折りにして当てたり、さまざまな使い方ができます。必ず防水フィルムのある尿とりパッドと併用します。

やせていたり足の拘縮などで、おむつを当てた時に足まわりに隙間ができて尿が漏れやすい人。尿量が多いため、現在使用している尿とりパッドの吸収量を高めたい人におすすめです。

シート


【フラットシート】
【目安吸収量】尿2回分程度
シートを広げると大きいのでたっぷり吸収しそうですが、吸収量は少なく尿量が多いと十分に吸収できません。尿はシート全体に広がります。

テープ止め紙おむつ、パンツ方紙おむつなどの排泄アウターと組み合わせて使用すると、アウターの立体ギャザーの中に入らないため、中でしわや片寄りができて、本人にとっては苦痛でおむつかぶれや床ずれの原因にもなる事が多くありますので、注意が必要です。

排泄インナーとしては使用できませんが、防水シートとしておむつ交換、陰部洗浄、洗髪、手浴足浴などのケアを行う時に活用することができます。


参考引用文献:監修・執筆  浜田きよこ 「プロの排泄ケア入門おむつマスター」(2012)
発行:日総研出版