大人用紙おむつを使っている方から、「朝起きたら、布団までぬれている…」「座っていて車いすまでぐっしょり…」「大人用紙おむつのパッケージにおしっこ4回分吸収って書いていたのに、1回の排尿で外までモレた…」などのご相談がよく寄せられます。
衣類や寝具をぬらさないために、いやだけど我慢してつけている大人用紙おむつ。それにもかかわらず、大人用紙おむつからモレてしまったら、介護する人も介護される人もとても傷つきます。そんな悲しい思いを繰り返さないために、大人用紙おむつからのモレの原因を一緒に考えてみませんか?
「大人用紙おむつからの尿モレ」といっても原因はさまざま
「大人用紙おむつからの尿モレ」とひとくちにいっても、その原因はさまざまです。
例えば、大人用紙おむつのサイズが大きすぎる、使用する時間に対して尿とりパッドの吸収量が少ない、大人用紙おむつの当て方が適切でないなどの原因があります。
たとえ適切に当てていても、着用時の不快感から本人が手を入れたことでずれてしまったり、排泄アウター(パッドを固定するもの)と排泄インナー(尿とりパッド)の組み合わせが悪かったりしてもモレてしまいます。
大人用紙おむつからの尿モレにつながる おもな4つの原因
このように大人用紙おむつからの尿モレにはさまざまな原因がありますが、おもな原因を4つ紹介します。原因別に詳しく見ていきましょう。
原因①サイズが合っていない
パンツタイプやテープタイプの大人用紙おむつは、大きいほうが尿をたっぷり吸収すると思って、大きめのものを使用している方がいます。しかし、からだに合ったサイズでないとすきまができて、そこから尿がモレることがあります。
また、からだのサイズより小さい排泄アウターの場合は、皮膚への圧迫が強くなり、赤みやかぶれの原因となりますので注意しましょう。
まずは、本人に合ったサイズの大人用紙おむつを使用することが大切です。どのサイズが合っているかわからなければ、まごころサポートに連絡してサンプルで試してみましょう!
【受付:月曜~金曜(祝日を除く)午前9時~午後5時】
原因②吸収量があっていない
本人の失禁量にあった吸収量の大人用紙おむつを使用していないことで、尿がモレてしまうことがあります。失禁量に合った吸収量の尿とりパッドを選ぶためには、使用済みのおむつの重さを使用前のおむつの重さから引いて、失禁量を割り出します。仮に失禁量が100mlだったとしたら、それを吸収できるような尿とりパッドに変更します。
使用した時間の失禁量とどこがどのようにぬれていたかを排泄アウターと排泄インナーを図にして記録するようにしておくと、日中、夜間の失禁量に合った吸収量の尿とりパッドを選ぶ目安となります。
もし、尿量に対して十分な吸収量の尿とりパッドを使用しているにもかかわらず、交換時に大人用紙おむつからモレているのであれば、排泄アウターと排泄インナーの組み合わせや当て方に問題があることがわかります。
原因③排泄アウターと排泄インナーの組み合わせが悪い
排泄アウターの中に大き過ぎる尿とりパッドを入れると、排泄アウターの立体ギャザーの内側に尿とりパッドがおさまらず、はみ出してモレやすくなります。尿とりパッドは、排泄アウターの立体ギャザーの中におさまるサイズを選びましょう。
原因④適切なあて方や使い方ができていない
大人用紙おむつの適切な当て方ができていないため、尿がモレることがあります。大人用紙おむつからのモレを防ぐのに大切なことは、立体ギャザーの使い方です。立体ギャザーがついている尿とりパッドは、必ず立体ギャザーを立てて使用しましょう。なぜなら、立体ギャザーを立てて使うことで足まわりからの尿モレを防ぐことができるからです。
尿とりパッドの立体ギャザーを立てるためには、尿とりパッドの両端を持って、ピンピンと引っ張ると自然と立体ギャザーが立ってきます。また、からだにあてるときに立体ギャザーが内側に倒れないように、足の付け根に沿うようにあてるのがポイントです。
「おむつからモレるから、尿とりパッドを重ねて吸収量を増やそう」と思いがちですが、尿とりパッドを重ねても大人用紙おむつからの尿モレを防ぐことはできません。尿とりパッドを重ねると、排泄アウターの立体ギャザーがうまく働かなかったり、重ねることですきまができたりして、かえってモレがひどくなります。
●大人用紙おむつの種類と使い方<パッドタイプ 男女兼用編>
大人用紙おむつからの尿モレが発生したら、丁寧に観察して原因を探す
大人用紙おむつからの尿モレには、さまざまな原因があって、それぞれに違った対策があります。何がモレの原因かを見極めるために、以下の2点を確認しましょう。
- 大人用紙おむつのどこからどのように、どれくらい尿がモレていたか
- 尿とりパッドに吸収した量はどれくらいか
そうすることで、何が原因で大人用紙おむつからの尿モレが発生するのかを探しやすくなります。さらに、使っていた時の姿勢を記録しておくと原因が絞りやすくなるかもしれません。
日ごろから、排泄記録表に記録をつけることも原因を見極めるためには大変有効です。排泄記録表とは、排泄についての日誌です。1日の水分摂取量、排尿量、漏れの量、排便の量と形状などを最低3日つけていくと、その人のおおよその排泄のリズム(パターン)が分かります。
専門医に受診する際にも、この記録表があると、より的確な診断や治療法などの目安となり役立ちます。まずは、3日間、記録をつけてみましょう。
●「排尿記録表」は排尿トラブル解決の第一歩!
まとめ
ひとくちに「大人用紙おむつからの尿モレ」といっても、原因はさまざまです。まずは4つの原因①排泄アウターのサイズはあっているか、②排泄インナーの吸収量は適切か、③排泄アウターと排せつインナーの組み合わせは適切か、④適切な当て方や使い方はできているかを確認しましょう。
「モレたから、この大人用紙おむつではダメ」では大人用紙おむつからの尿モレは解決しません。大人用紙おむつからの尿モレを繰り返さないために、どこからどのように、どのくらいモレたか、尿とりパッドにどれくらい吸収したか、使っていた時の姿勢はどうだったかを丁寧にみていきましょう。日ごろから排泄記録表をつけ、その方の排泄のリズムをつかんでおきましょう。