介護のためのおむつのヒント

大人用紙おむつをつけている時、おむつの中のお肌はどんな状態?なにが起きる?

紙おむつをつけた時、紙おむつの中ではどのようなことが起きているのでしょう。暑い?蒸れる?快適?不快?

目の前におられる「紙おむつをつけていらっしゃる方」の紙おむつ内のお肌はどのような状態で、なにが起きているのでしょうか?

紙おむつ内はムレムレ!?

紙おむつをつけた時、紙おむつ内の環境は、布パンツ1枚を履いている時と違います。またそこに排泄物が出ることによって、おむつ内の環境はさらに変化します。

紙おむつを使用していない私たちの場合、パンツは布パンツ1枚のみを履いていることがほとんどですが、紙おむつをつけておられる方は、紙パンツのみ、紙パンツ+尿とりパッド、テープ止めタイプのおむつ+尿とりパッドの組み合わせで使用しておられます。

布パンツ1枚の時と比べると、どうでしょう?身に着けている枚数が増える分、厚みが増しますね。さらに時間の経過とともにおむつ内の湿度は少しずつ高くなっていきます。

湿度が高くなってくると、紙おむつ内のお肌は浸軟(ふやけた状態)した状態になり、外部からの影響をうけやすくなります。(浸軟の例:絆創膏をして水仕事をした後に絆創膏をはがすと皮膚は白くふやけていますが、それに近い状態です。)

排泄物は変化する

さらに、紙おむつ内に排出される「尿・便」は以下のように変化し、お肌へ影響を与えます。

尿

尿pHは弱酸性~中性ですが、空気に触れて分解、食べ物・薬物による影響でアルカリ性に変化します。

便

泥状の便や水の様な便は、消化酵素(リパーゼ、プロテアーゼ)の作用を受けるため、アルカリ性の便となります。

また、細菌や真菌感染があると、皮膚をアルカリ性に変異させてしまいます。加齢によって皮膚はアルカリ側に移行しやすく、汗も人間の肌に優しいとされる弱酸性ですが、発汗が続くと汗のpHが上昇し、アルカリ性になってしまいます。肌は酸に対しては強いのですが、アルカリに対しては比較的弱いのです。

つまり何が起こる?

紙おむつ内のお肌は、湿潤した状態にあります。湿潤によって、表皮を保護している皮脂膜がとれてしまい、バリア機能が低下します。バリア機能が低下した肌に直接アルカリの刺激(アルカリに変化した尿・便・汗)が触れることにより、スキントラブルが生じやすくなるのです。

また、皮膚がふやけた状態になると、細胞間の結びつきが緩んでしまい、組織の結合が弱い状態となります。そのため、少しの摩擦(ずれ)であっても摩擦係数が高くなり、表皮剥離(皮めくれ)も簡単に起きてしまいます。

お肌は敏感な方もいらっしゃれば、丈夫な方もいらっしゃいます。またその方の栄養状態等も大きく影響します。皮膚の状態をはじめ、体に異常があったときには、早く気づいて適切な相談先につなげることが大切です。