【介護食宅配食シリーズ②】「高齢者向け食事宅配サービス」選びに失敗しない5つのポイント

介護者の負担を減らせる人気の「高齢者向け食事宅配サービス」。近年、業者ごとに多彩なサービスがあって便利な反面、様々な業者がありすぎて選ぶのが難しいという声をよく聞きます。今回は、サービス業者選びで大切な5つのポイントを、私が実際に体験した失敗談もふまえながらお伝えします。

 

おいしさ、ボリューム、料金…は、もちろん大切ですが。

食事宅配サービスを選ぶときに真っ先に考えることは「おいしさ」や「量」、そして「料金」という方が多いと思います。たしかに、大前提として大事なことですよね。でも、そればっかり考えていると、大きな落とし穴にはまってしまうかもしれません。なぜなら、サービスを必要としている人(被介護者、介護者)の状況は、実に多様だからです。被介護者が「できること」や「できないこと」、介護者が「やってほしいこと」や「やってもらいたくないこと」は、人によってそれぞれですよね。だからこそ、安易に選んでしまわないで、もう一歩踏み込んでサービスの細かな部分まできちんと検討し、自分たちに合ったものを選ぶようにすることが肝心です。

 

食事宅配サービス選びに失敗しない5つのポイント

今回、「食事宅配サービス選び」というテーマを選んだ一番の理由は、実は、私自身がサービス業者選びに失敗したことがあるからなんです。契約がはじまってから気づいたことがたくさんあり、あまり考えないで決めてしまったことにすごく後悔しました。

私には、若年性アルツハイマー病の母がいます。その当時は、63歳で私の近所で一人暮らしをしていました。症状が進行するまでは、自分で自炊できていたのですが、段々、火の元の管理などが難しくなり、兄のお嫁さんからの提案で「食事宅配サービスが便利だから、申し込もう」ということになりました。ちょうどチラシが手元にあったので「写真もおいしそうだし、割引キャンペーンをやっているし、この業者に決めよう」と利用をはじめたのですが、フタを開けてみればトラブルの連続…。結局、のちに別の宅配サービス業者に変えることになります。そんな経験を元に、選ぶときに気をつけるべきポイントをご紹介します。

(参考記事)
【親が認知症になってしまった】認知症の受診を拒む方にやってはいけない対応とは?

【ポイント①】口コミをチェック

思い返せば、色々な業者を比較せず、チラシを見て簡単に決めてしまったことが失敗のはじまりでした。選ぶときには、やはりインターネットなどで色々な業者を比較してみることが肝心ですね。検索すれば、サービス業者ごとの口コミを見て、リアルな情報を参考にすることができます。ひとつの口コミ内容から、「こんな対応してくれるんだ」など、分かりにくい細かなところが見えたり、想像できたりしますので、選ぶときには、まず口コミをぜひチェックしてみてください。

 

【ポイント②】 最低契約期間や違約金をチェック

私の場合は、冷凍タイプの宅配弁当をお願いしていました。はじめは母が電子レンジで解凍できていたのですが、若年性アルツハイマー病は、症状の移り変わりが早く、段々自分で電子レンジを扱うことが難しくなってしまいました。

私がお願いしていた業者は、常温タイプの食事を提供しておらず、かといって食事宅配サービスは期間契約なので、サービスは続けるしかない…といった状況になりました。現時点のことだけではなく、将来的に被介護者(介護する側)や介護者(介護される側)の状況がどうなっていくかを検討して、「契約期間中でも、内容を切り替えられる」、「いつでも解約してOK」などの条件も確認の上で、決める必要があります。

 

【ポイント③】 実際に届く食事をチェック

多くの食事宅配サービスは、試食サンプルを取り寄せて試食ができます。私も試食をした上で「これなら大丈夫だろう」ということで決めました。のちのち発覚したことなのですが、試食したものと実際に届いたものがなんと全然ちがっていました。

試食したときは普通の器だったのですが、実際に届けられていたものはキズがひどく使い回し感が目立つものでした。さらに、盛り付けも「これでは食欲が出ないよな…」と思うほど、質素な盛り付けになっていました。

このような失敗をしないためにも、試食をしただけで安心せずに、実際に届く食事も必ずチェックしていただきたいです。

試食のときのような食事を自分の親が食べているはず…と思い込んでいて、実は、まったく違う食事が届けられている。もしかしたらそんな人がたくさんいるのかもしれないと思ってしまう残念な出来事でした。

【ポイント④】 届けてくれる人をチェック

私の場合、一番後悔したことが「届けてくれる人は、どんな人なのか」ということを考えていなかったことでした。

始めて契約していた食事宅配サービスは、器を玄関に置いておいて返却するシステムだったのですが、母親がうっかりそれを忘れてしまったことがありました。そのことで、母は、宅配スタッフにきつい口調でしかられてしまい、パニックになって泣きながら仕事中の私に電話がかかってきたのです(あとから分かったのですが、宅配の方は介護の知識のまったくない方でした)。高齢者向けのサービスなので、宅配スタッフもきちんとしているだろうと思っていましたが、それが落とし穴でした。

新しくサービス業者を選ぶときには「安否確認サービス」があるかどうかを重要視して選びました。その結果、介護の経験豊かな方が「やまもとさ~ん」と声かけをしながら食事を配達してくれ、何か変わったことがあればきちんと連絡をしてくれるようになり、「介護に向き合う姿勢を持っている人に届けてもらう」、そして「その人と連絡を取り合える」ということの重要さに気づきました。

 

【ポイント⑤】 「食べること」の大切さを考える

もうひとつ印象的だったのは、母が「お弁当が届いても、食べていいのかわからなくなった」ことでした。お腹が減っていて、目の前にお弁当が届いているけれど、食べることができない。そんなことが起こるとは想像すらしていませんでした。母は、テーブルに置いたお弁当が何なのかがわからなくなり目の前にあるお弁当が食べることができず、私が母の家に向かう夜まで我慢していたのです。なんともショッキングな出来事でした。

兄弟で相談をし、ヘルパーさんに来てもらう時間を分割・調整して、お昼に一緒に食べてもらうことにしたのですが、あらためて気づいたことが「やっぱり、一緒に食べる人がいると、母がおいしそうに笑顔で食べる」ということです。

思えば、一人暮らしの母親が「食事を摂れる状況にする」ことだけにとらわれすぎて、「食べること」の大切さを考えられていませんでした。「食事宅配は週5日にして、週末は手作りのものを家族一緒に食べる」、「食事は宅配を利用するけれど、できるだけ誰かが一緒に食べるようにする」など、工夫すれば様々な方法があると思います。食事宅配を検討する際には、利用者にとって「食べること」ってどういうことだろうと考えてみることが大切だと感じました。そうやって、想いをめぐらせば、自分たちの暮らしに合う方法が見つかりやすいように思います。

 

「“食べること”を楽しむ」ための、宅配食でありますように。

食事宅配サービスを利用してみると、たしかに介護の負担が減って便利だし、栄養バランスに気を使わなくていいし、メリットはたくさんあります。でも、安易に決めてしまわずに、ちょっとだけ立ち止まってみてください。食事宅配サービス選びは、「食べることってなんだろう?」と考えるいい機会だと思います。私は、自身の経験を通して「食べることは、生きること」という意味がよくわかったように思います。みなさんのサービス選びが、「食べること=生きること」を楽しむ選択肢であるように願っています。