【ヒント!になる 動画配信キャンペーン 】介護の食事のお困りごと 

ありがとう5周年特別企画「ヒント!になる 動画配信キャンペーン!」と題して、専門家による動画コンテンツを全3回にわたり配信する予定です。

介護にプラス Live+Doでおなじみの排泄用具の情報館むつき庵 所長の浜田 きよ子さんと副所長の熊井 利將さん、株式会社ヘルシーオフィス フー代表で管理栄養士の德田 泰子さんに3つのテーマについて、お話しいただきます。

講師紹介

2回目となる今回は、介護食のお困りごとについて、解決のヒントとなるお話をお聞きします。

まず、本日お話をお聞きする、株式会社ヘルシーオフィス フー代表 德田 泰子さんのご紹介をさせていただきます。

管理栄養士・調理師の資格をお持ちで、10年間の病院勤務の後、管理栄養士として独立されました。利用者目線に立ったメニュー提案、商品開発など「おいしく・楽しく・健康な暮らし」を実現するため女性起業家として、栄養コンサルティング会社を設立され、その代表を務めています。 得意分野は高齢者の食事です。

なぜ介護の食事のお困りごとをテーマに選んだのか

ありがとう5周年 特別企画で、4月に実施した「アンケートに答えてプレゼントキャンペーン」の回答では、排泄の困りごとに続き、介護の食事に関する困りごとが多く寄せられました。

実際にアンケートに寄せられた「糖尿病でカロリーや塩分制限があるため日々の食事に苦慮している」「遠方のため、食事に配慮できず、栄養に偏りがある」という困りごとについて、管理栄養士の德田泰子さんに介護する人が頑張りすぎず、楽しみながら取り組める工夫をお聞きしました。

介護の食事の困りごと①「糖尿病でカロリーや塩分制限があるため日々の食事に苦慮している」

個人の疾病などによって、調整が必要な場合、毎日の食事作りに悩みますね。

「制限食」というだけで「大変」「難しそう」というイメージが頭をよぎります。そしてその「制限」という言葉に縛られがちです。

カロリーを控える場合、何がカロリーをアップさせているかといいますと、「脂肪」なんです。ですから、献立はできるだけ余分な脂肪を控えるようにします。

例えば、料理方法ですと「揚げる」よりも「焼く」「煮る」「蒸す(レンジ)」に変更する、食材では、牛肉のバラ肉よりも赤身部分の多い方が、同じ分量でも約半分のカロリーに抑えることができます。

また、糖尿病の場合は、血糖コントロールをする必要もありますので食事の際は、野菜をしっかりとって頂くことで血糖の急な上昇を防ぐことができます。併せて、不足がちな野菜を補うことができ栄養バランスも整います。

介護の食事の困りごと②「遠方のため、食事に配慮できず、栄養に偏りがある」

一緒に住んでいないと毎回の食事を用意することができないので、栄養の偏りが心配になりますね。栄養バランスのいい食事をとってもらうためのアドバイスがあればお願いします。

栄養バランスについては、とても簡単に申し上げますと食事で「主食、おかず、野菜」の組み合わせができていますか?ということから、はじめるようにおすすめしています。決して、栄養士が計算する大変な作業はしなくていいのですよ。

例えば、朝食で食パン、目玉焼き、トマト これでもバランスの良い食事の第一歩なんです。1皿の中からはじめるといいと思います。

うどんでも、お揚げのみのきつねうどんよりも、しいたけやほうれん草、鶏肉の入ったかやくうどんといった感じです。焼きそばも野菜が豊富で実は、1皿の中からバランスの良い食事がとれるようになっています。

私たちの身体は、食事で栄養をとりエネルギーに変え、消化吸収して日々の活動に役立てています。そしてその食べ物は、身体に対してそれぞれ違う役割があります。ご飯やパン、麺類などの主食となる食品はエネルギーのもとに、肉や魚、卵や大豆製品などのおかずとなるたんぱく質は、筋肉を作る材料に、野菜は、ビタミン・ミネラルがからだの調子を整えたり、食物繊維がおなかの調子を整える役割をしてくれる。

そのため、特定のものだけでなく、様々な食品を組み合わせて日々、元気なからだをつくっていきます。遠方で心配かと思いますが、ますは、1皿の中で「おかずあるかな?野菜あるかな?」って確認することからはじめてみてはいかがでしょうか。

「食べるチカラ」を引き出す工夫

では最後に、食べるチカラを引き出す工夫を教えてください。

「食べるチカラ」は、食べたい気持ち、食べてみようと思える気持ちが大切です。そのためには、「食べるという本来の行為」以外にも着目する必要があります。

環境、姿勢、食事の温度、器、音、見た目などがとても重要な働きをします。

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先日、おむつの重ね使いで姿勢が崩れる→姿勢が崩れていると飲み込みにくい→食が細くなる→栄養不足から褥瘡になった方の事例をお聞きしました。ご本人の食べたいという気持ちから、ご家族やヘルパーさんが協力して、姿勢を改善するためにおむつの重ね使いをやめ、結果的に食事が飲み込みやすくなったそうです。「食べるチカラ」を引き出す上で、姿勢の大切さを実感した事例でした。

私たちが食事に関わるときは、よい姿勢をサポートするためにクッションを入れましょうとか、車いすのままではなく、テーブルの高さにあったイスに着座していただきましょうとか、足が床につかないときは足台を使うなどいろいろと工夫します。

だけど、おむつまでは配慮していなかったので、そのお話は重要ですね。

「おむつの重ね使いをやめてください」という指摘だけでなく、その方が食べたいと思っている気持ちを実現するというポジティブな発想だったので、介護のくらしにプラスになるヒントがあるなと思いました。

いいお話ですね。冒頭にお話したように、制限ってマイナスなんですよね。介護の食に関しても、あれダメ、これダメではなく、どうしたら食べられるだろうとポジティブに考えていくことが食べるチカラを引き出すためには大切なのではないかと思います。

おわりに

德田 泰子さん、お話を聞かせていただきありがとうございました。

なお、介護にプラスLive+Doでは、「介護のための食べるのヒント」で、介護の食事の困りごと解決のヒントになる情報を掲載しています。食べるチカラをサポートする方法や德田さんのインタビュー記事、德田泰子さん考案の介護食レシピも紹介中です!ぜひご覧ください。

これからも、介護にプラスLive+Doでは、介護のくらしに役立つアイデアや情報を発信し、介護のくらしに“プラス”をお届けしていきます。

本日は最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。